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「何言ってんだお前。星に簡単に届くわけが……」
『いや、現に今届いてるじゃん。地球という名の星にね』
「…………はあ!?」
Aの言葉に、俺は素っ頓狂な声を上げた。……は、いや、それは、そんなのは。
「ただの屁理屈じゃねえか！」
『えー？ でも星は星だよ？』
「バカバカし……真面目に聞いて損したぜマジで……」
あまりの馬鹿らしさに、全身から力が抜ける。
『……でもさ、月のうさぎさんは、地球に手が届かないんだよ？』
「……何が言いてえんだよ」
『きっと、私にしか届かない星があって、13にしか届かない星があるよ。それで、きっとその星は、誰かにとってはすごく輝かしいものなんだよ……？』
「…………もしかして、慰めようとしてくれてんのか？」
『……』
Aの突拍子もない発言は、でもなんだか、よく聞くと何か、俺に訴えかけようとしているような気がした。比喩的というか、婉曲的すぎて分かりにくいが、でも何か、彼女なりに伝えたいことがあるのではないか。
『……具体的な悩みの内容が分からないから、こんな遠回しな言い方しか出来ないけど』
「にしたって比喩的すぎんだろ。危うく"いつもの電波発言が始まったなー"って聞き流すところだったぞ？」
俺は思わず苦笑する。意外と不器用なところもあるんだな、とAの横顔を見ながら思う。
『…………やっと笑ってくれたぁ』
「あ？」
『いやなんか、さっきからずーっと難しい顔してたからさ』
「そうか？」
『13には笑っててほしいよ』
「なんだよ急に。気持ちわりぃ」
『ひっどーい』
「…………まあなんだ。ちょっとだけ助かった」
『へへ、でしょでしょ？』
「ドヤ顔やめろ。ウザい」
『なんでそんなこと言うの！ 珍しく素直だなって思ったのに！ のに！』
「うるさい。今夜中だぞ」
ぴしり、Aの額を軽く弾く。痛ぁ……とAが額を押さえて呻く。
それからしばらく、俺達は黙って並び、澄んだ池を眺めていた。たまに気まぐれで水に手を突っ込んでは、やっぱり届かねえな、とぼんやりと思う。もうそのことを悔しく思ったりはしなかった。
『……なんか、夜の水辺に男女が二人って、ロマンチックだねぇ』
「お前はちったあ黙れねえのか」
『あ、ごめんごめん。感傷に浸ってるところ邪魔しちゃった感じ？』
「うるせえ」
『えへへ、怒られたー』
沈黙の時間に飽きてしまったAと軽く言い合いをする。Aが笑う。俺もつられて笑う。
そうして二人、夜空に浮かんだ月が水面から姿を消すまで、池のほとりに佇んでいた。
Fin.
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パト(プロフ) - ドリメアンさん» リクエスト、書き終わりました。確認をお願い致します。何か至らない点がありましたら遠慮なくお申し付けください。この度は、書いていて楽しいリクエストをありがとうございました！ (2021年6月27日 10時) (
レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - ドリメアンさん» リクエストありがとうございます！ヤンデレですか……。書いたことはないのですが精一杯頑張って書かせて頂こうと思いますのでしばらくお待ちください。 (2021年6月13日 16時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
ドリメアン - リクエストです。零夜でヤンデレで他の男子キャラに追い詰められて夢主を別の世界に連れ去るのが見たいです。 (2021年6月13日 16時) (レス) id: 352fae32d2 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - かずさん» クールな零夜くんがただのヤバい人に……何をしているんだ私は。 (2021年5月3日 7時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
かず(プロフ) - 零夜君！？ (2021年5月2日 23時) (レス) id: b2c4a9da46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パト | 作成日時：2020年12月28日 18時
