彼女の歌声【サーティーン】 ページ23
(13side)
「……あっマルコスてめっ、復帰阻止はずりーぞ!」
「ふふーん、真剣勝負にズルも何もないでしょ〜?」
金曜の午後、学校から解放された放課後の時間を、俺は親友であるマルコスの家で過ごしていた。コイツとは小学校からの仲で、今でもこうしてよく一緒にゲームをしたりする。
「はい僕の勝ち〜」
「あークッソ、もう一回だ!」
「別にいいけどさ、二人だとちょっと物足りなくない?」
意味ありげに放たれたその言葉に、俺は眉をひそめる。
「……と、言いますと?」
本当はマルコスの言いたい事は何となく予想がついていたが、俺は気づいていないフリをして、白々しくそう訊いた。
「Aもここに呼んでいい?」
「……別に、いいけど」
Aとは、コイツの妹の名前だ。俺がよくコイツの家に遊びに行くうちに仲良くなった……と、俺は思っている。A本人が俺についてどう思っているかは知らない。
彼女と一緒に遊ぶのは別に嫌ではない。いや、俺としてはむしろ大歓迎だ。しかし、俺はあえて素っ気なく返答した。……というのも、
「うんうん、やっぱり今後のことも考えて、Aと13にはもっと仲良くなってもらわないとだもんね」
Aが絡むと、コイツは途端にこんな調子になるからだ。13がAをもらってくれるならこんなに嬉しいことはない、とでも言いたげな、茶化すような、でもどこか真剣さを感じる調子に。
そこまで信頼してもらえてんのは正直悪い気はしないし、Aとのことについても、反対されるよりは好都合だが……A本人の気持ちは考えているのだろうか。兄の脳内で勝手に自分が俺の嫁にされてるなんて知ったら、Aはどう思うのだろう。やっぱり嫌だろうか。
「……ってワケで13、A呼んできて」
「お前が行けばいいだろ?」
「あれ〜、せっかく僕が自然にAと話せる機会をあげてるんだから、そう遠慮しないくていいのに〜」
……俺は別に、Aのことが好きだなんてコイツには一言も言ってないんだが。どうやらコイツの中では完全に俺がAに恋していることになっているらしい。…………事実なので否定はできないが。
「ほらほら、行ってらっしゃい!」
「ちょ、オイ!」
半ば強引に、リビングから追い出される。……こうなっては仕方ない。諦めてAを呼びに行こう。Aの部屋は階段を上がった先、廊下を少し行って右だったハズだ。
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パト(プロフ) - ドリメアンさん» リクエスト、書き終わりました。確認をお願い致します。何か至らない点がありましたら遠慮なくお申し付けください。この度は、書いていて楽しいリクエストをありがとうございました! (2021年6月27日 10時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - ドリメアンさん» リクエストありがとうございます!ヤンデレですか……。書いたことはないのですが精一杯頑張って書かせて頂こうと思いますのでしばらくお待ちください。 (2021年6月13日 16時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
ドリメアン - リクエストです。零夜でヤンデレで他の男子キャラに追い詰められて夢主を別の世界に連れ去るのが見たいです。 (2021年6月13日 16時) (レス) id: 352fae32d2 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - かずさん» クールな零夜くんがただのヤバい人に……何をしているんだ私は。 (2021年5月3日 7時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
かず(プロフ) - 零夜君!? (2021年5月2日 23時) (レス) id: b2c4a9da46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パト | 作成日時:2020年12月28日 18時