甘美 ページ34
「……それにな、A」
『ん……?』
まだ何か、言いたいことがあるの?
「下手くそな奴は、どう足掻いたところで下手くそなままだ。貴様が何を作ろうと、あの魔法少女には勝てぬ」
『うぐ……』
…………今日一番の正論だった。
「どの道勝てぬのなら、貴様の好きなようにすれば良かろう。違うか?」
『……』
……意外、だった。忠臣が、そんなことを言うとは、思ってなかった。
『…………ふふ』
「……Aさん?」
『ふふ、あははっ。……そうだね、忠臣、ありがとう。私、勝てないなりに、頑張ってみるよ』
「ああ、そうするがいい」
「……総帥サマも、たまにはまともなこと言うんだな」
「たまにはとは何だ無礼者」
『あはは……』
……予定、変更。チョコレートを溶かして、型にでも入れて、固めよう。きっと、それで十分なはず。
………
……
…
『マルコス、ハッピー、バレンタイン』
「え、僕にくれるの? やったあっ!」
『テスラも、ハッピー、バレンタイン』
「わあい! ありがとうAちゃん!」
その日の、夜。私は、皆に、チョコを配って回っていた。
『13も、ハッピー、バレンタイン』
「おー。……結局、星の形の型に入れて冷やしただけのシンプルなヤツにしたんだな」
『不満、なの?』
「別に、貰ったモンにケチはつけねーよ。……サンキューな」
『ん』
「おいA。その菓子は我にもあるのか?」
『忠臣、そうだよ。はい、ハッピー、バレンタイン』
「うむ、大儀である!」
『……それと、今日、ありがと』
「ん? 何の事だ?」
『昼間、チョコ作り、アドバイス、くれたから』
「何だ、そんな事か。気にするでないぞ!」
『……本当に、ありがとう』
……よし。これで、チョコを渡してない男子ヒーローは、あと一人……。
──コンコン。
『零夜、いる? Aだよ。入って、いい?』
「……どうぞ」
少し間が空いて、部屋の扉が、開かれた。部屋に入り、さっそくチョコを渡す。
『ハッピー、バレンタイン』
「……ありがとう。凄く嬉しいよ……!」
顔をぱあっと輝かせ、零夜はそう言った。……こんなに喜んでくれるなら、昼間、あんなに悩む必要、なかったな。
「ホワイトデーの三倍返し、期待しててよ」
『三倍、返し……?』
「あれ、知らないの? バレンタインデーに貰ったものは、一ヶ月後の3月14日に三倍にして返すって風習があるんだよ」
『そう、なんだ……』
初めて、知った。
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パト(プロフ) - かずさん» ありがとうございます!!わ、私が掛け持ち無限ループに入る証拠がどこにあるって言うんだ!!(急に探偵に追い詰められた犯人風)←例えが分かりにくい (2021年3月14日 23時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
かず(プロフ) - 完結おめでとう!そしてまた何か掛け持ちするという無限ループに入ったらもう奥さん困っちゃうわぁ(急に近所のおばさん風) (2021年3月14日 22時) (レス) id: b2c4a9da46 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - かずさん» 読者様がネタで言ったことを現実にする女!それが私です(*`ω´*)ドヤッ(何もドヤる要素がない) (2021年2月27日 14時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
かず(プロフ) - まさかの2人とも猫耳になったΣ(・□・;) (2021年2月27日 13時) (レス) id: b2c4a9da46 (このIDを非表示/違反報告)
パト(プロフ) - かずさん» ふ、2人とも……だと……。…………あなたはネタのつもりで言っているのかもしれませんが私は結構本気で考え始めております(マジか) (2021年2月24日 0時) (レス) id: 8ed95612e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パト | 作成日時:2020年10月4日 13時