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皆の祈り ページ28

(エイトの兄貴は立派に育ったでがすよ…今までもこれからもあっしがずっと兄貴を見ていくから大丈夫でがすよ…)
(おたくの息子さんはまだ18歳の若さで世界を救いましたよ…俺もまだ20歳だけど)
(エイトはミーティア姫様やトロデ王、そして国の為に必死に頑張ってましたよ!頼れるリーダーでした!)
(まさかエルトリオ王子、あなたの息子がエイトだとは…夢にも思わんかった。大昔のトロデーンとサザンビークが交わした約束…失敬ながらそんなの気にするなと言ってしまったのじゃが…知らず知らずのうちに叶えているとはのう)
(私にとってエイトは、お兄様のような存在でした。そして気づけば…彼の事が大好きになっていたんです。もし、もしよろしければエイトとこれからも一緒にいても良いですか…?)
(エルトリオさん、ウィニアさん……違うか。父さん、母さん。……二人がいたから今の生活がある。その事にとても感謝しています。だけど…もし、もし違う未来が存在したなら…。一度でいい、一度でいいから話がしてみたかった。今の記憶をもったままで。旅の事、サザンビークの事、トロデーンの事、そして…ミーティアの事。たくさんたくさん話したい事があるから…)
6人の祈りは天高く登っていった。
その祈りは雲を越えて神にまで届いていた。
暗黒神が封印され、再びこの世に蘇った神だ。
どこまでも真っ白い世界が広がる異空間で神は呟く。
「…不幸か幸運か分からんなあの青年は」
そんな神のぼやきにどこからともなく現れた竜神族の娘と高貴な身なりをした王子が答える。
「幸運に変えたんですよ、エイトは」
「あるいは周りの環境がエイトを幸運に変えていったか、だな」
「どっちもじゃない?」
「そうかもな」
二人が嬉しそうに笑う。
「あの子は立派に育ってくれたわ。私達がいなくても…。こんなに素敵な仲間に、巡り会えて。」
竜神族の娘が美しい瞳に透き通った涙を浮かべる。
「…あぁ…。エイトが幼い自分をおいて死んでいった俺達の事を…恨まずに会いたいと願ってくれるなんてな」
王子が目をつぶりながらそう呟く。
そして二人は期待をこめて神を見つめる。
「ねぇ、神様…」
「どうか…お願いします」
二人は深く、深く頭を下げる。

二人の願い、一人の想い→←この先もずっと…



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作者名:如月フウカ | 作成日時:2018年4月28日 19時

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