勇気 ページ26
エイトとミーティアはゼシカ達の少し後ろをゆっくりと歩く。
歩きながらミーティアに話しかける。
「ミーティアがもし今のように俺を追ってきて万が一死んじゃったりしたら…絶対に嫌だからね」
結果としてミーティアが無事だったから良かったが、あまり危険な事に突っ込んではほしくない。
「それはミーティアもです!それにミーティアはこんなに頼もしいお仲間がいるんですから、絶対に負けないわ」
ミーティアが自信満々に言い放って、笑う。
「それと、今のミーティアはエルトリオさんに似ていると思いませんか!?」
唐突に話題が変わり、しかも亡き父の名を出され、エイトが驚いて何度も瞬きする。
「えっと…エルトリオさんとミーティアが似てるの?」
ミーティアが言った事を繰り返すとミーティアは「そう!」と頷く。
「だって、私もエルトリオさんも…大切な人を助けに…いいえ、取り返しに来たんですから!」
そう言われると確かに…。と納得しかけ、エイトはさらっと言われた『大切な人』という言葉に少し照れる。
そして深く考える。
あのグルーノの紙芝居でしか見たことのない自分そっくりな父エルトリオと、ミーティアの姿が、似ても似つかないはずなのに、重なった。
なるほど、これは似ている。
大切な人を自分の手で取り返す、力。
そして、自分の地位も身分も捨てて『好き』を追いかける、勇気。
「分かっていてもそれって本当に難しいことよね」
二人の会話を聞いていたゼシカが乱入する。
「あっしも兄貴の父ちゃんのように大切な人を追いかけるでがすよ〜!」
ヤンガスが大切な人を追いかける自分を想像しながら夢見心地に呟く。
「おっさんの大切な人=エイトだろ?」
ククールが呆れて言うとヤンガスはうなずく。
「もちろんでがす」
「即答かよ!?」
それにはさすがのククールも驚いた。
「え、ゲルダさんもでしょ?」
ゼシカがからかう。
「んなわけないでがす!」
瞬く間に笑いが巻き起こる。
「なんで笑うでがすか!?」と叫ぶヤンガスの顔は真っ赤だった。
そしてエイトは皆で旅をしていた頃を思い出し、懐かしくなる。
仲間がいたから、長い長い旅も楽しく感じた。
悲しい事も山程あったけど、きっと無念は晴らせたはずだ。
その後も皆とたくさん話をしながら洞窟内を歩いた。
途中で魔物が襲ってきてミーティアがメラゾーマを放った時は驚いたが、これだけの魔法の素質があれば自分を復活させることも可能だろうと勝手に納得した。
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作者名:如月フウカ | 作成日時:2018年4月28日 19時