ドラクエ8 ミーティア姫の大冒険 (ページ21)

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呪文が…効かない？ページ21

エイトはそう考え、振り上げられる剣を前に目を閉じた。
もう二度とこの目で仲間を、景色を見ることはないだろうと感じながら。
その直後唐突に爆発音が洞窟内に鳴り響く。
ゼシカとミーティアが目の前に立ちふさがる魔物にイオナズンを放ち、魔物共を一気に消滅させたのだ。
そしてその向こう側に現れたボロボロになったずっと探していた人物を見つけて表情を変える。
「エイト！」
「兄貴！」
全員が叫び、エイトに近寄る。
全員が、最悪の結末を想定していた。
「エイト…？」
ミーティアが手を伸ばしながら震える声でたずねる。
反応は、一切ない。
エイトの心臓はもはや音を立てていなかった。
それを確認し、認めてしまったとき、ミーティアが大声で泣き出す。
見たくなかった、こんな結末なんて。
どうすれば、どうすればエイトを救えたのだろうか。
ミーティアの、ミーティアのせいで。
あと少し、早ければ。
おつかいなんて、行かなければ。
ミーティアはもう何も考えたくなかった。
動く気力もなかった。
が、仲間達はまだ諦めていなかった。
ゼシカがエイトに手のひらを向ける。
復活呪文を使うつもりだ。
ミーティアがそれに気づき、エイトから少し離れる。
「お願い…効いて。ザオリク！」
しかしゼシカの想いも虚しくエイトは全く反応しない。
「な、んで…？ザオリクは、絶対に成功するはずでしょ！？」
悲痛な声でゼシカが言う。
ザオラルという運にかけるような復活呪文ではないのに。
なぜ。
その答えは誰も教えてくれない。
そんなゼシカを見たククールが険しい表情で言った。
「俺がやってみる…」
今度はククールが目をつぶり、エイトに手をかざしてザオリクを唱えるが…全く効果がない。
最早呪文では救えないのだろうか。
「エイト…」
エイトの身体はピクリとも動かない。
「兄貴ぃ！」
「エイト！わしより先に逝くでないわ！」
ヤンガスとトロデがエイトに近寄る。
ヤンガスはエイトにすがりついて大泣きしている。
「まだ…！まだ早いでがすよ！あっしより先に死ぬなんて！」
誰も口を開けず、永遠の時が続くように思えた。
もう何もしたくない。
何も考えたくない。
そんな考えが皆の頭を支配していた。
が、ある者が静寂を壊した。
「皆さん…ミーティアがやります」
美しい顔が涙でぐちゃぐちゃになってしまっているミーティアが生気を失ったようにゆらりと立ち上がる。
瞳の中の光が揺らぐ。