ミーティアの隠された魔力 ページ15
「ミーティア姫、次の戦闘からは参加しますか?」
「もちろんです!ゼシカ、魔法の使い方を教えてください!」
ゼシカはうなずいた。
「教えるには戦闘中がうってつけなので、戦闘の時に教えますね」
ミーティアは真剣な表情でうなずいた。
ミーティアの力は今ひとつだが、魔法ならどうにかなるかもしれないと思ったのだ。
「まさかミーティア姫が戦うなんてねぇ…?エイトも考えなかった展開じゃないか?」
ククールが言う。
「あっしもビックリでがす。ミーティア姫は必ずあっしらでお守りするでがすよ!戦い初心者なんでがすから」
「ミーティア姫に傷でもつけたらエイトに殺されちゃうもんね」
ゼシカが笑った。
旅のパーティで一番怒ると怖いのはエイトだ。
間違いなく。
めったに怒らない人が怒ると怖いとよく言われるが、まさにそれだ。
ミーティアがチャゴスによってムチで叩かれた時静かにエイトは怒っていた。
馬の正体がミーティアであるとは言わなかったが、あの時のエイトの表情は思い出したくもない。
ゼシカ達はなるべくエイトを怒らせないようにしようと密かに恐れていた。
まぁエイトが怒る時は大切な人が傷つけられた時ぐらいなのだが。
そんなことを考えていると魔物とぶち当たった。
トロデはヤンガスのおっさん呼びで戦闘に参加する。
ミーティアは初めての敵を前にして足が震える。
今までも魔物と戦ったが、ミーティアをトロデやゼシカが守ってくれたため、自分が攻撃することはなかったのだ。
ミーティアの隣にゼシカが並ぶ。
「大丈夫です、ミーティア姫。まず精神を統一して…心の中でイメージしながら、こう叫んでください」
ゼシカが呪文を教える。
ミーティアは真剣にうなずく。
心の中で鮮明に炎が浮かび上がる様子をイメージする。
「分かりました。……メラ!」
そして両掌を魔物に向けて叫ぶ。
「おぉっ、ミーティア姫様の魔法でがすね!?」
一同がミーティアの魔法に期待する。
しかしゼシカの表情が曇る。
「あの…ミーティア姫、これは、メラじゃ…?」
メラ、とは小さな炎の玉を飛ばす呪文だ。
しかし魔物の頭上には炎の玉とは程遠い、太陽が現れる。
「メラゾーマだな。確実に」
「ええっ!?ミーティア、失敗してしまったんですか!?」
ミーティアがククールの言葉に悲しそうに言う。
いやむしろ逆だ。
「いきなり上級呪文を取得できるなんて…さすがミーティア姫ですね…!ミーティア姫、その手をおろしてください!」
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作者名:如月フウカ | 作成日時:2018年4月28日 19時