トロデーンで噂の青年 ページ1
トロデーン城に住む一人の青年。
彼の名はエイト。
どこで産まれたのか、なぜここにいるのかも分からずに相棒トーポと共に彷徨い歩き、挙げ句に病に倒れた幼き少年をトロデーン城の姫が自身の城に連れて帰ったのだ。
いつしか時が立ち、立派な青年へ成長したエイトは近衛兵となり、人々を支配しようと企んだ暗黒神ラプソーンを倒し、遂には姫の心を掴み取った。
トロデーンは今日も、そんな青年の話で持ちきりである。
「いやーあのエイトが姫様と結婚なんてね!」
「いや俺は分かってたぜ、姫様がエイトに向ける目はただの友人を見る目じゃなかったからな〜」
エイトと近衛兵仲間であった数人が話している。
どこの馬の骨か分からない彼がまさかここまで出世するとは…。
世界は分からないものである。
「お、噂をすればエイトじゃねーか?おーいエイトー!」
噴水の前を通りかかった赤いバンダナをつけた青年がその声に気づき、振り返る。
彼こそが世界を救い、姫の心を掴み取った青年だ。
真面目で優しく強い青年である。
エイトはかつての同僚に近づく。
「どうしたの?」
「いやー俺達の事なんか忘れちまったかと思ってさ。王子様!」
「その呼び方はやめてよ。」
エイトが苦笑して言う。
今まで近衛兵だったのに唐突に王子と呼ばれるのはやはりまだ慣れないようだ。
「お前大出世したなー俺達を差し置いて」
「大出世ってわけじゃないって…。俺は昔ミーティアを守るって誓ったからさ」
「ミーティア姫様はやっぱり可愛いよなぁ〜お前が羨ましいぜ」
エイトの話を聞いているのかいないのか空を見上げながらそう呟く兵士。
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作者名:如月フウカ | 作成日時:2018年4月28日 19時