【ONE PIECE】DEAD OR ALIVE (ページ2)

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痛いほどの地響きに耳をつんざくような銃声と、皮を突き破る音。そして潮と共に風に舞う鼻のひん曲がる鉄の臭い。

剣が交わる音。
誰かの身体が引き裂かれる音。
火薬の飛び散る音。
そしてどちらなのかわからない断末魔。

だけど、その中でも鈴が甲高く響くように海軍の大将である″徹底的な正義″を掲げる、サカズキの威厳のある低い声は周りの音を消していくかのように、鮮明に耳に届く。

｢″白ひげ″は所詮…先の時代の″敗北者″じゃけェ…｣

その言葉は時に相手の冷静さを欠く一手と形を変えていく。

ぴたり、と軽やかに宙に舞っていた黒髪は重力に従い垂れ落ち、地面に吸い付けられたように止まる足。
そして振り返った男は、白ひげを尊敬し愛してやまない白ひげ海賊団2番隊隊長、ポートガス・D・エース。

｢ハァ…ハァ…、敗北者……？｣

｢？｣

｢取り消せよ……！！ハァ…。今の言葉……！！｣

｢エース！！！立ち止まるな！！！｣

｢のるなエース！！！戻れ！！！｣

彼には、赤犬の声しか頭に入ってこず。仲間の制止になんて目もくれず…、ただ目の前で淡々と尊敬するオヤジを侮辱するやつがどうしようもなく許せなかったのだろう。

｢…っ、ルフィ！！！！！！！｣

度重なる疲労が遂に彼の命取りへとなる。
ほんの一瞬、たったコンマ数秒の硬直。
それが、戦場では命取り。
熱く熱気が伝わってくる拳。

膝をつき、動くことの出来ない弟を兄は守るよう、尊敬するオヤジの海賊旗が刻み込まれた背中を赤犬へと見せた。

そして、身体をも氷のように簡単に溶かすマグマがひとつの息の根を止める。

………誰もがそう悲痛に叫びまくった。

ジュッッ、と何かが触れて焼けた音。

そして、この場に似つかわしくない少し高めの女の凛と響く声。

『…なーに諦めちゃってんのよ。』

今から来るであろう壮絶な痛みに耐えようとしていた身体。聞き覚えのある懐かしい声。
…聞けるはずもないあいつの声。

ルフィやエースは、今置かれている立場も状況も忘れてただ赤犬とエースの間に立って不敵に笑みを零す女に目を疑う。

『…久しぶり、兄弟。』

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