ナイフ ページ15
*
次々と壇上に上がるメンバーの後ろから、ヒョクに続いて上がる。
いつものように、満面の笑みで手を振る。
あー、でも緊張で顔が強張る。
目を凝らして見ると、会場の一番後ろ、大きな扉のすぐそばに
Aがいた。
目が合って小さく手を振るA。
うん、今日もかわいい…なんて悠長なこと言ってられない！
A！今すぐここから逃げて！
そう叫びたいのにできない。
目で訴えてみても、Aには届かない。
本当なら、こんなイベント今すぐ中止にして
Aを連れて逃げてしまいたいのに、それも出来ない。
見えない不安に押しつぶされそうなのに
そんな僕の思いとは裏腹に、イベントは進んで行く。
ゲームや抽選会、そして歌…
もしかしたら、このまま何事もなく終わるんじゃないか？
微かにそんな気の緩みが頭を過る。
「ん…」
突然のまぶしさに、目を細める。
明らかに、僕を狙ってるその鋭い光の正体が何なのかわかるまで
あまり時間はかからなかった。
「ヒョク…」
「んぁ…？」
ヒョクは、すっかり忘れてるようにマヌケな返事を返す。
「あそこにいる…」
マイクが拾ってしまわないように小声で耳打ちする。
そいつは…Aとは反対側の扉の前に立っていた。
スタッフ用のベストを着て、首からは身分証までぶら下げて…
紛れ込んでやがった……！
クソッ…
Aは？
なんでまだあそこにいるんだよ！
マネヒョンはなにしてるの！？
「どこ？」
「左側の扉のすぐ横。スタッフの格好してる黒いキャップのやつ」
何をする気だ？
そいつをじっと見つめる。
そいつは、僕に視線を送って小さく笑ったあと、反対側の扉の前にいた
Aの方に向いた。
そして…
一歩、二歩…
その手には…
さっき眩しい光を放っていたそれ。
小さなそれは…
ナイフ……？
その時、頭の中の警報がけたたましく鳴り響いて、考えるよりも早く
身体が動いていた。
舞台から飛び降りて、SPを振り切って、ホールを横切る。
後ろからヒョクが叫ぶ。
「あいつだ！捕まえて！！」
悲鳴と怒号の中、走った。
Aが、目を見開いてゆっくりと顔を左に向けて
一気に恐怖で顔が歪む。
まるで夢を見てるみたいに、走ってるのにたどり着けないジレンマ。
「ヌナ！！」
次の瞬間
視界の中に、Aを捉えたと思ったら…
某然とするAの顔が、暗闇の中に消えて行った…。
*
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さくらこ(プロフ) - ハルさん» ハルさん、今頃コメントに気づいてレスが遅くなってゴメンナサイm(_ _)m永久保存版だなんてめちゃくちゃ嬉しい褒め言葉です！ちょっと最近更新出来てないのですが…これからもよろしくお願いします( ´ ▽ ` ) (2014年7月9日 12時) (
レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
ハル - はじめまして！つい昨日のこと…こちらのお話と出会いました。そして仕事が休みだった今日、一気に読み上げました。さくらこ様!!!!!最高です!!!!!永久保存決定です!!!!!おっと、興奮してしまいました(-_-;)ｽﾐﾏｾﾝ 他のお話にもお邪魔します♪ (2014年5月26日 19時) (レス) id: 3afd879ea6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ゆきひこさん» ゆきひこさん、コメントありがとうございます！！そんな風に絶讃していただけるなんて、くすぐったいような気が引けちゃうような…こんな駄作を気に入っていただけてすごく嬉しいです。こちらこそ、本当に感謝です！！（ ; ; ） (2014年2月4日 12時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきひこ - 最愛ドンヘの小説が読みたくて…泣いてしまった。…ゆっくりと愛し愛されるプロセスが有って 、哀しくて優しくて辛くて幸せで…私の叶わぬ夢を文字にしてくれた作者様…感謝！！“見惚れてるよ、私の旦那様に…”グッと来た台詞(笑)多分私もきっと言うはずだから(笑) (2014年2月1日 19時) (レス) id: 3d5def24d2 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - 蛍さん» 蛍さん、レスが遅くなってごめんなさい(＞人＜;)気づくの遅っ！ありがとうございます！とにかくドンヘ溺愛の作者ですので願望入りまくりです（笑）ホント、こんな恋出来たら幸せですよね…夢です(泣) (2013年10月13日 9時) (レス) id: a388da78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi＊ku
| 作者ホームページ：http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時：2013年6月5日 9時
