【鬼滅の刃】教祖様をはっ倒したい 弐【童磨】

57話 ページ8

私の聞き間違いかしら、と困り果てた顔で蜜璃ちゃんは言う。

「もう一度聞いてもいい？」
『もちろん。その人のこと殴りたいから私に稽古つけてほしいの』

蜜璃ちゃんは、首を傾げて「殴りたいの？」と尋ねてきた。

頷くと、困ったように話をする。

「私、人を傷つけたくはないの…理由もないのにそんなことするなんて間違いだわ。Aちゃんにそんな人になってほしくない」

蜜璃ちゃんは、私をしっかり見据えて真剣に言う。優しい。

『理由がないわけじゃないよ』
「殴る理由がある人なんて、Aちゃんには似合わないわ…」

確かに。
でも確かに好きだから仕方ない。

『なんて言えばいいんだろう？そいつとは結構長い付き合いで…馬鹿にされてばっかりだから見返したいんだよね』

殴っても死なないし、という言葉は控えた。
私たちが鬼であることは言ってはいけない。

蜜璃ちゃんを騙しているようで心苦しいが、どうしてもそれだけは言えない。
バレたら、私と童磨か、蜜璃ちゃんのどちらかが殺される。

私はどちらも失いたくない。

「Aちゃんを馬鹿にするなんて、尚更許せないわ」

拳を固めながら蜜璃ちゃんは言う。

『自分で言うのは癪だけど、喧嘩するほど仲がいいみたいな意味で受け取ってよ』
「そ、そうなの…？」

困惑しながらも、蜜璃ちゃんは頷いた。

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