98話 ページ49
行こうとしたが、行けなかった。
若い青年に呼び止められたのだ。
「あの、道に迷ってしまって…」
青年は頭を掻きながら照れくさそうに言う。
いやこんな1本の大通りでどうやって迷うんだ。
と言いたいところだが、生憎こちらにも探知探索が不得意な野郎がいる。何も言えない。
「ここに行きたいんですよ…」
どうやら遠慮というものはないらしく、私に案内させるのは彼の中で確定しているらしい。
私としては一刻も早く童磨と和解しなくてはならないが、焦っても良いことはない気がしたので彼を案内してから小物屋を回ろうと決めた。
彼が地図で指し示した場所は、街の外れの小さな家だった。
「叔母の家なんですよ」
私はそうなんですね、と聞き流しつつ歩く。
つか本当に一本道だな。
むしろ迷える方がすごい。
私は彼と世間話をしながら歩いていった。
『…そういえば、鬼って本当にいるんですかね』
「あぁ…」
彼の目が獲物を捉えたような瞳に変わるのを見た。
「遊郭の方にはいるらしいですね。あとは山の方にはうじゃうじゃ。この街では…聞いたことがないかもしれない」
やけに早口だ。
それに情報量がそれなりに多い。
『…お兄さん、鬼殺隊の人なの？』
逃げようか、と体を強ばらせる。
「違いますよ！少し興味はあるけどね」
やっぱりこの年頃の男は鬼殺隊に興味を示すのか。
私はこの人が鬼殺隊でないことを確認して肩の力を抜いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 748人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むるち(プロフ) - 邑宇井さん» 呪いって無惨様の前でもダメなんでしたっけ…そこら辺曖昧でつい呼ばせてしまいました。訂正いたします。ご指摘ありがとうございました！ (2020年1月12日 17時) (
レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
邑宇井 - 童磨が無惨様って言っちゃってますけど大丈夫ですか???呪いとか...この作品ではスルーされる方向でしたらすみません (2020年1月12日 12時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - フランさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです！口付けされた場所に関してはこめかみで間違いないです。目尻の近くです。完全に私の好みです、お気に召さなかったら申し訳ありません。 (2020年1月11日 23時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 童磨カッコイイしこの作品大好きです！あと、"こめかみ"では無く"眉間"では無いでしょうか？間違っていたらすみません (2020年1月11日 11時) (レス) id: 8ce07c13d0 (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - lunaさん» コメントありがとうございます。そのように感じていただけて嬉しい限りです！マイペースで申し訳ありませんが頑張ります！ (2020年1月10日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むるち | 作成日時：2019年12月24日 23時
