66話 ページ17
外へ出ると、あたりは夕暮れに染まっていた。
井戸の水をすくい上げて腕にかける。
すると、信者の男が声をかけてきた。
「A様、少しよろしいでしょうか」
『それはここでも話せる?』
「ええ」
さすがに小刀が転がったままの部屋に招くのは危険なので、承諾を得られてほっとした。
濡れた腕をハンカチで拭いながら男に向き合った。
『それで、どうしたの?』
私が尋ねると、信者は恥ずかしそうに目を右往左往させた。
そして軽く呼吸を繰り返し、私を見つめ直した。
「実は、この度祝言を挙げることになりました。なので、ここを離れて里に戻ります」
わあ喜ばしい。
『そうなんだ!おめでとうございます!可愛らしい方なの?』
「はい、とても。親が決めて写真を送ってきたんですが…」
なるほど、最近は自由な恋愛も認められつつあるが、結婚となると未だに親が決めたりお見合いだったりする。
でもこの男の場合、親が決めたとしても満足しているようで良かった。
「この万世極楽教に私を誘ってくれたのは貴女様ですから…本当に救われました」
『いやいや、とんでもない。そう思ってくれて嬉しいよ』
「私にとっては本当に有難かったのです。あのとき死にそうだった私がこうして祝言を挙げることが出来るのも貴女のおかげです」
そう言って、男は嬉しそうに微笑んだ。
748人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むるち(プロフ) - 邑宇井さん» 呪いって無惨様の前でもダメなんでしたっけ…そこら辺曖昧でつい呼ばせてしまいました。訂正いたします。ご指摘ありがとうございました! (2020年1月12日 17時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
邑宇井 - 童磨が無惨様って言っちゃってますけど大丈夫ですか???呪いとか...この作品ではスルーされる方向でしたらすみません (2020年1月12日 12時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - フランさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!口付けされた場所に関してはこめかみで間違いないです。目尻の近くです。完全に私の好みです、お気に召さなかったら申し訳ありません。 (2020年1月11日 23時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 童磨カッコイイしこの作品大好きです!あと、"こめかみ"では無く"眉間"では無いでしょうか?間違っていたらすみません (2020年1月11日 11時) (レス) id: 8ce07c13d0 (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - lunaさん» コメントありがとうございます。そのように感じていただけて嬉しい限りです!マイペースで申し訳ありませんが頑張ります! (2020年1月10日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むるち | 作成日時:2019年12月24日 23時