40話 ページ41
私は、200年前に恋を自覚した。
まだ鬼になる前だ。
当時、私は15歳だった。
自分の恋に気づいた私は、“教祖様とお話出来る時間”をものすごく楽しみにしていた。
それから5年経った日。
私と童磨は鬼になった。
そしてまず童磨に何を言われたかというと、
「俺、感情がないんだよねぇ」
だった。
私は混乱した。
あの優しい教祖様に、感情がない?
そんなこと、あるはずない。
突きつけられた現実から必死に逃げようとした。
それでも、いつも通りにこにこと笑う教祖様の顔の下に、何か感じることはなかった。
「鬼か…人間って美味しいのかな」
教祖様は、鬼になった事実をすんなり受け入れた。
私は、鬼になったことはおろか教祖様に感情がないことすら受け入れられなかった。
私はこの5年間、何に恋をしてきたのだろう。
感情がない彼に想いを伝えたところで、明るい未来なんてくるだろうか。
ましてや鬼になってしまった。
ああ、神様に突き放されたんだ。
私はただそう思った。
一心に教祖様を信じてきたから、神様が馬鹿だなって言って天罰を食らわせたんだ。
その思考にたどり着いた時、私はこの恋に蓋をしようと思った。
どうせ叶わないなら、もう諦めてしまおう、と。
「あぁそうだ。名前、教えてなかったよね。俺は童磨。改めてよろしくね」
私は差し出された童磨の手を握り返して、にっこり微笑んだ。
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むるち(プロフ) - 恋(れん)さん» コメントありがとうございます。童磨は素晴らしいと思います! (2020年1月13日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
恋(れん) - ありがとうです童磨。いいですよね! (2020年1月13日 9時) (レス) id: f613416e65 (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - 極色さん» コメントありがとうございます。お褒めいただき光栄です!これからもよろしくお願いします! (2019年12月22日 0時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
極色(プロフ) - お初にお目にかかります。この小説のテンポがとても好きです!これからも応援しています! (2019年12月22日 0時) (レス) id: 734106404b (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - 七七四さん» コメントありがとうございます。そう思っていただけて光栄です。七七四様を始め応援してくださる方のおかげでここまで沢山の人に評価してもらえるようになりました。私も嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます! (2019年12月21日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むるち | 作成日時:2019年12月7日 9時