13話 ページ14
『ねぇ、付けてみてもいい?』
童磨はまた、もちろんと笑った。
私はたどたどしい手つきで髪を簪で止めた。
「ふふ、Aってそんなに不器用だった?」
『笑うんじゃねぇこんにゃろめ』
私は200年より前から不器用である。
今更直せる気がしない。
「いやぁ、鬼でもうなじって魅力的だよねぇ」
扇子で口元を隠しながら童磨は言う。
私はそんな童磨に問う。
『…喰べる?』
「…まさか。」
ぴくりとも表情を変えずに、童磨は答えた。
「あんまり美味しくなさそうじゃない?鬼ってさ。それにAはなんだか、別の理由で食べたくない、気がする…」
童磨にしては珍しく、不安そうな声だった。
『まあ、私も童磨に食べられるなんてたまったもんじゃないからいいけどさ』
「あは!性格直しておいで!」
『無理かな!』
せっかくいい感じの雰囲気だったのに、童磨は煽らないと死ぬ病気らしい。可哀想に。
そして私は童磨の煽りに負けたら死ぬ病気なので、どうしても口が回ってしまう。
もしかしたら私の血鬼術は口が達者なことなのかもしれない…!
髪をほどき簪を手で包めば、存在しないはずの童磨の気持ちを感じた気になって、そこから温もりが広がる気がした。
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むるち(プロフ) - 恋(れん)さん» コメントありがとうございます。童磨は素晴らしいと思います! (2020年1月13日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
恋(れん) - ありがとうです童磨。いいですよね! (2020年1月13日 9時) (レス) id: f613416e65 (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - 極色さん» コメントありがとうございます。お褒めいただき光栄です!これからもよろしくお願いします! (2019年12月22日 0時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
極色(プロフ) - お初にお目にかかります。この小説のテンポがとても好きです!これからも応援しています! (2019年12月22日 0時) (レス) id: 734106404b (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - 七七四さん» コメントありがとうございます。そう思っていただけて光栄です。七七四様を始め応援してくださる方のおかげでここまで沢山の人に評価してもらえるようになりました。私も嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます! (2019年12月21日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むるち | 作成日時:2019年12月7日 9時