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12話 ページ13

コンコン、と私の部屋の扉が叩かれる。

時刻は9時半。
…童磨かあの女の子だろうな。

『…どうぞ』

扉を開けたのは、童磨だった。
いつものような薄気味悪い笑いを浮かべている。


『断ったの?』
「うん」
『…喰べちゃった?』

童磨は、一呼吸置いてから首を横に振った。
それに私は酷く安心した。

『喰べたと思ってた』
「心外だなぁ、断っただけだよ」

ならいいけど。私はそう返事をした。

「そうそう、あのね。Aにあげようと思ったんだよね」

そう言うと、童磨は小さな長方形の箱を取り出した。

『…開けてもいい?』
「もちろん」

にっこり頷く彼を見て、私は箱を開けた。


『これ…!』

中に入っていたのは、彼岸花の簪だった。

「欲しいって言ってたからさ!」
『でも…高かったでしょ?』
「どうだったかなぁ」

童磨は顔もいいし信者も多いから、その気になればお金くらいどうってことないのかもしれない。

『ありがとう、童磨』

私は心からの感謝をめいっぱいの笑顔で童磨に伝えた。

「…どーいたしまして」

童磨は、ないはずの心をどこかに置いてきたみたいにぼーっとしていた。


『でも酷いね』
「感謝したと思ったらなに?」
『別の女の子振っておいて、私に簪あげるとか。私に気があるみたいだよ?』

童磨はさあね、と月に微笑んだ。

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むるち(プロフ) - 恋(れん)さん» コメントありがとうございます。童磨は素晴らしいと思います! (2020年1月13日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
恋(れん) - ありがとうです童磨。いいですよね! (2020年1月13日 9時) (レス) id: f613416e65 (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - 極色さん» コメントありがとうございます。お褒めいただき光栄です!これからもよろしくお願いします! (2019年12月22日 0時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)
極色(プロフ) - お初にお目にかかります。この小説のテンポがとても好きです!これからも応援しています! (2019年12月22日 0時) (レス) id: 734106404b (このIDを非表示/違反報告)
むるち(プロフ) - 七七四さん» コメントありがとうございます。そう思っていただけて光栄です。七七四様を始め応援してくださる方のおかげでここまで沢山の人に評価してもらえるようになりました。私も嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます! (2019年12月21日 22時) (レス) id: bddfebd16d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むるち | 作成日時:2019年12月7日 9時

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