「ごめんなさい」を貴方に。 (ページ1)

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心の中ページ1

「ごめんなさい」

心のなかで、そっと呟く。

吐き気のする程に拗らせたこの感情は、消えることなく体の奥底から天辺までぐるぐると渦巻いている。

好きになってごめんなさい。

愛して欲しいと、一瞬でも思ってしまってごめんなさい。

出会ってしまってごめんなさい。

こんな俺で、ごめんなさい。

彼への申し訳無さと、いつまでも変われない自分への嫌悪感が、また一層心の中を乱していく。

カッシャンと音が鳴って、床へと落ちたカッターの赤い血が染みを作ってゆく様を見つめ、自身の左腕をキュッと掴んだ。

あぁ、またやってしまった。

何となく、近場にあったカッターを腕に押し当てて引いてみたら、スッと開かれた傷口から血が出てきた。

その感覚が、荒れた心の中を沈めていく。

こんなのやっても、意味ないのに。

わかってるとも、それくらい。でも、仕方がないのだ。

こうするしかなかったのだと。

どうせ、彼奴は俺に振り向くことなどありわしない。

ましてや、興味すら持ちやしないだろう。

今日もまた、平静を装って、大好きな彼の側を通り過ぎる。

何もなかったかの様に、目すら合わさずに。

本当は、前の様に笑い合って、話がしたいけれども、その勇気すら俺は持ち合わせていないのだ。

「ごめんなさい」

こんな感情を持ってしまって、ごめんなさい。