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父の元に必死の思いでたどり着くもトールは既に虫の息。
どうにかならないかと父に乞うも、自分の力では無理だと嘆くばかり。
結局どうにもすることができずにトールは亡くなってしまった。
トールは12歳で、若く活気溢れて優しく……ルクスにとってはかけがえのない自慢の兄で、自分の半身のような存在だった。
ルクスは塞ぎ込んでしまった。
毎晩兄が、夢の中でルクスを責め立てる。
「なぜ気が付かなかったの?」「ルクス。君が気付いていたら僕は死なないですんだのに」「まだ死にたくなかったよ」
もちろんトールはそんなことを言う人間ではない。
しかし、罪の意識がルクスに幻を見せる。
いつしかルクスは、夜に眠ることができなくなっていた。恐怖を感じるようになってしまったのだ。
暗闇がルクスの記憶を呼び起こしてしまうから。
1日、2週間、3ヶ月、1年……どれほどの時間が経ったのだろう。
時が彼の心を少しづつ癒したのだろうか。
ルクスは1時間ほど、睡眠をとることができるようになっていた。
ある日の深夜33時。ルクスは夢を見る。
薄ぼんやりとした霧のような何もない視界の中、そこにトールは立っていた。
「ルクス、僕に囚われないで。僕はもう十分幸せだったんだから。僕という存在から君を解放できるように頑張るから……」
途端にそれまであった霧はフワッと霧散し、ルクスは夢から覚めた。
その日を境に、深夜33時からの1時間の間。
容姿も人間性も全てが別人に変わったかのように、外に出て朗らかな表情のルクスに似た人物の姿が度々見られるようになる。
そのことをルクスはまだ、知らない。
【まとめと補足】
双子の兄弟のトール、ルクス
↓
争いでトール命落とす
↓
ルクス引き篭もる
↓
トールルクスの身体を1時間だけ乗っ取り、じがい(初めから自分が存在しなかったことに)しようとする
↓
縁結びの街にいつの間にか来ている(トールの仕業)
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作者名:Dolaco | 作成日時:2023年6月10日 1時