ド派手に愛して！【宇髄天元】

モテ男の苦悩 ページ11

*



「冨岡の妹、ねぇ…」


職員室で机上に肘をつきながら、口に含んでいたチューイングガムを上手く膨らせる。

昼休みを知らせる鐘の音。
それを合図に周りの教師の緊張感が緩みだす中、視線の先にある冨岡をじとりと見つめAの顔を思い浮かべた。


あの冷淡な冨岡に妹がいるのは噂で聞いていたが、意外な風貌っつーか。
いや、冨岡に似てないこともないんだがーー



「…言いたいことがあるなら言ったらどうだ」



目を細めて凝視していると昨日の今日で喧嘩を売られているとでも思ったのだろうか。
冨岡が威嚇体制で睨みを効かせてくる。



「おいおい、そんなド派手に怖い顔してると妹も離れていくぜ？おにいさま(・・・・・)」



チャラけてAの真似をしてみれば、更に深まる皺と無言の圧。

…相変わらず冗談が通じねぇ奴だな。


不穏な空気に居心地の悪さを感じながら、さっさと退散を目論み職員室を後にする。


俺には冨岡のような地味な生き方、性に合わねぇし馬も合わねぇ。
あいつもまた俺のような派手な生き方をする奴と馴れ合うつもりもないんだろうが。

となればAも俺のこと苦手だとか思ってんだろうか。

いやいや、俺ほどの男に苦手意識を持つ女なんて今までいなかった。
むしろ派手にモテて困るほどの日常だ。ありえねぇだろ。

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