ope.13 ページ14
Aside
翌日、正式に手術の日が決まった。
4日後…だ。
(あと4日で手術…身体にメス、入れられるんだよね…怖い)
大門先生と加地先生が手術の説明をしてくれている。とは言っても、殆どの説明は加地先生がしていて大門先生は窓の景色を眺めている。加地先生曰く結構危険で難易度の高い手術になるそうだ。
加「全力を尽くさせて頂きます」
加地先生は私にそう言ってくれた。その言葉は五年生存率10%を覚悟している私にとってとても有難いものだった。
「ありがとうございます…」
私はそうお礼を言った。
手術の説明が終わると加地先生は出ていったけれど大門先生はすぐには出ていかなかった。
そして大門先生が私に聞いてきた。
大「オペ、怖い？」
(怖いに……決まってるじゃん)
私は心の中でそう呟いたが笑顔でこう返した。
「まあ、全く怖くないっていったら嘘になりますけど……別にそんなにですよ？」
昨日出会ったばっかりの先生に怖いだの嫌だの愚痴をこぼすのはどうかと思うし、なにより私はあまり人に弱音を吐きたくない。だからそう返したのだ。
私が言葉を返してから大門先生は一息ついてこう言った。
大「私、失敗しないので。安心してね」
そんなことを言われても、安心出来ない。
「失敗しない」なんてない。特に医療では。だから同意書っていうものがある。こっちも万が一失敗するかもしれないというリスクを承知の上で同意書にサインするのだ。まあ、私の場合お母さんとお父さんがサインすることになるけど。
変に「失敗しない」なんて言い張らないで欲しい。
だって、「失敗しない」前提でこれからのことを考えてしまうから。もし失敗したらそのことを受け入れることが出来ないかもしれないから。
それなら「失敗するかもしれない」と言ってくれる方がいい。残りの4日を悔いが無いように生きたいから。
そんなことを思ったけれど私はまた笑顔で「ありがとうございます。よろしくお願いします」と返した。
そして大門先生は「じゃーね」と手を振って病室を出ていった。
そう、「失敗しない」なんてない。
失敗するかもしれないし成功するかもしれない。でも私の危険なオペの執刀をしてくれることは本当に有難い。だから私は、そのことには(ありがとうございます)と心の中でもう一度お礼を言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
affettuoso(プロフ) - 丸メガネさん» いえいえ！こちらこそコメント嬉しかったです*(^o^)/*またいつでも気軽に話しかけてください！ (2017年10月13日 0時) (
レス) id: 5c1adc5428 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ - affettuosoさん» なるほど！こんな無知な私に教えて下さりありがとうございました！レスが早かったので嬉しかったです（笑） (2017年10月13日 0時) (レス) id: 2b4c29f1fe (このIDを非表示/違反報告)
affettuoso(プロフ) - 丸メガネさん» こんにちは！五年生存率とは五年後に生きていられる可能性をパーセンテージに表したものです！ (2017年10月13日 0時) (レス) id: 5c1adc5428 (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ - あの…五年生存率って何ですか？ちょっと気になってしまいまして… (2017年10月13日 0時) (レス) id: 2b4c29f1fe (このIDを非表示/違反報告)
affettuoso(プロフ) - 百夢さん» 有難う御座います！2人とも今はテスト中なので終わり次第続きを書きます！ (2017年3月6日 15時) (レス) id: ee1cdcfa1d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：espoir･affettuoso x他1人 | 作成日時：2017年1月12日 23時
