Can You Keep A Secret？〜Doctor-X〜

ope.X ページ11

《Aside》

『失礼します。』

軽いノックと丁寧な挨拶で特別室に足を踏み入れる。

彼はそう、テレビで観ない日はないってぐらバラエティーで引っ張りだこの…中居正広だ。

「どうも。」

そう言って大きい猫目を少し細めて笑った顔は優しくて格好良くて。

私も目には比較的自信があったけれどその自信はあっさり消えてしまった。

『中居さんが患っている悪性黒色腫というのは単純に言えば皮膚ガンです。転移などは今の所認められないので今のままいけば皮膚移植だけで済むかと。しかし、現在の進行状況を見る限り進行が速いので臓器に転移が認められた場合は手術が難しいものになるということを頭に入れておいてください。』

冷静に言えたと思う。

大門先生を横目で見ると興味無さそうに窓の外の景色を見ていた。

＿＿超一流アイドル(？)を目の前にしても動じないって…ある意味尊敬するわ。

「難しい手術になるって事はもう芸能活動ができないって事もあるんですか？」

これは患者から毎回のようにある質問。

この質問が来る度に私達は覚悟を決めて


『大丈夫です。私達…』




『「失敗しないので。」』


お馴染みのセリフを口にする。

2人で声を揃えて同じ言葉を言ったのが面白かったのか、中居さんは

「息ピッタリじゃん、おもしれー。」

と言いながらテレビでよく観る悪戯な笑顔を浮かべた。

その笑顔があまりにも素敵過ぎて思わず叫びそうになった…が

『有難うございます。あ、手術までお酒は駄目ですからね。では失礼致します。』

出来るだけ普通に注意をして頬を赤らめることもなく病室を出た私を是非とも尊敬してほしい。

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