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仕事の話や日頃の愚痴やら下らない話をしていればあっという間に数時間が経ち、日付けを跨ごうとしていた。
会計して来ると向かったマイクに、ご馳走様ですと伝えれば、手をヒラヒラさせながら其方にへ向かった。
楽しくてつい飲み過ぎてしまったなと、立ち上がればグラリと身体が傾いた。
倒れるかもと体制を整え様とするも、よろけた身体はがっしりとした腕に支えられていて、見上げれば酒のせいかほんのり頬を染めた相澤と目が合った。
「ありがとうございます」
「しっかりしろよ」
お礼を言いつつ酒に影響されている相澤を珍しいなとまじまじと見詰めれば、Aを支えて無い方の手が伸びて来てスリリとAの頬に触れた。
ゴツゴツと骨張り皮の厚い大きな掌が頬を撫でる感触に目を瞑り、思わずもっととその掌に擦り寄った。
A…と静かに名前を呼ばれて目を開ければ、ゆっくりと相澤の顔が近寄って来ている。
近いなぁ…このままだとキス出来そうと、まるで他人事の様に近付いて来る相澤を見ていれば、少し熱の籠った声で目を閉じろと言われ、言われた通りに自然と目を閉じた瞬間。
「HEY！お前等そろそろ行く準備は出来…は？」
会計を終えて帰って来たマイクはピタリと動きを止めた。
「…。行くぞ、A」
「へ？あ、はい！」
「もう遅い、家まで送る」
何事も無かったかの様にAの荷物を手に持ち、店を出た相澤の後を急いで追い掛けるAをポカンと見送ったマイクは、ハッと我に帰り二人を追い掛けて叫んだ。
「ちょちょちょちょーっと待ちな、御二方！」
「おいマイク夜中だぞ、叫ぶな近所迷惑だろ考えろ」
「おっと悪ぃ、つい叫んじまったぜ。ってそんな事より相澤！ちょぉっと良いか！？」
「あ？っ、おい、何だいきなり」
良いからと嫌がる相澤の肩に腕を回し、Aから少し離れた二人に何事だと首を傾げた。
暫く何かを話した後、戻ってきた二人にどうかしたのかと聞けば、何でもないと返された。
特に気にする事も無くそうですかと納得すれば、帰るぞと歩き出した相澤の後を追う。
暫く歩いた所でマイクと別れた。
別れ際、相澤に近寄り何か耳打ちをしたかと思えばゲシッと相澤の蹴りがマイクの尻にヒットしていて、其れを見ながら、何か余計な事を言ったなと察して思わず笑みが溢れた。
戻った来た相澤はそんなAに気付き、何だ？と首を傾げた。
「相変わらず仲良しさんですね」
照れながら帰るぞと言って否定をしない相澤に再び微笑んだ。
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作者名：カピバラ | 作成日時：2022年2月6日 11時
