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《それで今年も手伝ってくれるかい？》
「はい、今年も宜しくお願い致します」
電話越しに彼の嬉しそうな感謝の言葉が聞こえて、思わず微笑んだ。
それから暫く細かい内容を伝えられた後、段々と話が逸れてゆき根津の毛並みのお手入れ方法やら健康に関しての情報やらを永遠と語られた。
暫く一方的な話を聞いていれば満足したのか、当日は宜しくお願いするのさ！と言って電話が切れた。
相変わらずだったなと一息ついて、いつの間にか空になったコーヒーカップ持ちキッチンへ向かい、新しくコーヒーを淹れ直す。
たっぷりミルクと砂糖を入れ、再びテーブルに向かい席に着き先程の予定を手帳に書込んだ。
予定を書込みながらふと、確か今年はエンデヴァーさんが息子が雄英を受けるのだとか言っていたのを思い出した。
エンデヴァーさんの息子さん、勝己達と同い年だったはず。
暫く会ってない彼等の事も思い出し、彼等の事だから雄英を受ける筈だと考え、久しぶりに会えるのではないかと心を弾ませた。
手帳を仕舞い、淹れたばかりの甘いコーヒーに口を付ける。
「アチッ」
少しばかり浮かれていた為か、己が猫舌である事をすっかり忘れて舌を火傷してしまった。
自分しか居ない部屋で浮かれていた自分に恥ずかしがりながら、残りの仕事に手を伸ばした。
「やあ！今日は来てくれて感謝するよ！」
雄英高校の正門前に根津と、その根津を首回りに巻き付けている布から生やした黒い服を身に纏った男がAを出迎えた。
「お久しぶりです根津校長、相澤さん。…何故肩に校長を？」
「久しぶりだな。それは…」
「暖を取るには此処が最適だからさ！」
「成る程、確かに其処は暖かそうですね」
私も入りたいなとクスリと笑えば、相澤はお望みなら捕縛してやるが？と、捕縛布を一撫でしてニヤリと笑った。
この人は冗談抜きでやりかねないので、其れは遠慮しときますと拒否をした。
「それじゃあそろそろ中に入ろうか。皆が揃い次第、早速入試の会議を始めるのさ！」
校長の言葉に頷き、雄英高校に足を踏み入れた。
久しぶりに来たが、矢張り何もかもが大きくて凄いなと感心する。
暫く歩き、会議室に向かう直前にクルリと天高くセットしてある金髪の男と際どい格好をした黒髪の女が目に入った。
「あ！お久しぶりですマイクさん、ミッドナイトさん」
声を掛ければその声に気付いた二人は振り返り、Aを視界に入れた瞬間嬉しそうに顔を明るくして、此方に近付いて来てくれた。
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作者名：カピバラ | 作成日時：2022年2月6日 11時
