20 ページ20
「その内分かるよ」
「その内？」
「…ところで彼奴等は知り合いか？」
相澤の視線の先に目を向けると、出久と勝己が丁度50m走をしている所で、そんな彼等を見て大きく成ったなと自然と笑みが溢れた。
「ええ、赤ちゃんの頃から知ってます。何だか親になった気分です、あんなに小さかったのに」
「緑谷の個性について何だが…」
「無個性で此処まで来れるって相当頑張りましたよね」
「無個性な訳あるか。入試観てなかったのか？」
話が噛み合わ無い事に疑問はあるが、入試は途中まで観ていたと伝えると少し考えた相澤は一人納得していた。
全く分からないAはハテナを飛ばすばかりで、如何言う事ですかと小首を傾げる。
訳を聞こうと口を開いた瞬間、生徒の一人が全員測定が終わったと報告をして来たので、次のテストを行う為に移動と準備の為に話が流れてしまった。
そして先程の話に戻る事なく、次々とテストが執り行われていき、今はボール投げを測定中で先程とある女子生徒が無限を叩き出した所だった。
今の子は凄いなと感心していると、何処か顔色が悪い出久がボールを構え振りかぶった瞬間、隣に居た相澤が突然個性を使った。
それから突然焦り出した出久の方へ向かうと、何やら話をし始めるも直ぐに戻って来た相澤に首を傾げる。
二投目を投げる瞬間、突然出久の指先が一瞬にして凄い勢いでボールが飛んで行った。
余りの出来事に唖然としていれば、勝己が怒り出して出久に向かって歩み出すも、シュルルと伸びた相澤の捕縛布が勝己に絡み付いた。
「何回も個性使わすなよ…俺はドライアイなんだ」
そう言うとシュルリと解放させた相澤は、時間が勿体ない次、準備をしろと指示を出した。
出久の腫れ上がった指を見て、相澤が言っていたその内分かるとはこの事だったのかと理解して出久の元へ向かった。
「色々聞きたい事があるけど、それより先に指を見せて？治療しないと」
「Aちゃ…A先生！大丈夫です、まだやれるから！」
バッと手を隠して笑った出久に、本当に大丈夫？と聞けば大丈夫と離れて行ってしまいその後ろ姿に少し寂しさを感じた。
次のテストの準備中、Aの携帯が震えたので確認してみれば、リカバリーガールからで手伝って欲しい事があるから来てくれという内容で、その事を相澤に伝えれば分かったと頷く。
失礼しますと伝えれば周りにいた生徒達から何処に行くのか問われ、保健室に戻るから何かあったらおいでと伝えてその場を後にした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カピバラ | 作成日時：2022年2月6日 11時
