18 ページ18
職員の朝礼が終わり、各々がこれから始まるガイダンスの為の支度をし始めたので、Aも向かう為の支度をしていれば、ちょっと良いか？と相澤に声を掛けられた。
何でしょうかと伺えば、これから個性把握テストをするから少し手を貸してくれと頼まれた。
「これからですか？ガイダンスが有るのでは？」
「そこは校長にも許可は得ているから問題はない。支度が終わり次第グラウンドへ来てくれ」
そう言うと、黄色い布を片手に職員室を後にした相澤に急だなと思いながら支度をしていれば、ポンと頭に大きな手が置かれた。
其方に顔を向ければ、銀髪の赤いヒーロースーツに身を包んだ大柄な男、ブラドキングがお前も大変だなと哀れみの眼差しを向けていた。
「奴は毎年アレをやっててな、去年なんて一クラス全員除籍してたしな」
「一クラスですか！？」
「あぁ。まぁ一度除籍させたくせに在籍させてるから、奴にも何か理由が有っての事だろうがな」
そんな事があったのかと頷いて居れば、職員室の旅をバンと開け、息を切らしながらスーツ姿の男が入って来た。
「ゲホッ！ゴホッ…お、遅れてすまない！」
時々吐血をさせながら咳をして入って来たのは、筋骨隆々な姿とはかけ離れた姿のオールマイトだった。
今日から宜しくねと挨拶をするオールマイトに直様駆け寄った。
「ああっ！また無茶をして！今すぐ回復しますので」
「A少女じゃないか！君と共に働けて嬉しいよ！」
「だから少女じゃないと何度も言ってるじゃないですか！ほら、動かないで下さい！」
バサリと金色に輝く純白の翼を広げてオールマイトを包み込み、彼の鳩尾辺りにそっと手を添えた。
「やっぱり君の個性は凄いね、僕の我儘を聞いてくれて本当に感謝しているよ」
「凄く無いですよ。八木さんの此処すら完璧に治せ無かったんですから…」
特に変わりもしないのだが、気休めには成るだろうとオールマイトの左腹に手を添えて個性を使う。
ある程度使って個性を仕舞い、体調の方は如何ですか？と尋ねれば、一瞬にして見慣れた逞しい姿になった。
「うん、大丈夫そうだ！何時もありがとう、君には感謝しきれないよ！」
「良かった。感謝しきれないのはこっちの台詞ですよ、貴方が居なければ私は此処に居ないので」
オールマイトが何かを言いかけていたがチラリと時計が目に入り、時間を見ればそろそろ相澤の元へ向かわなければならない時間になっていて、そろそろ行きますと伝えて急いでグラウンドへ足を向けた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カピバラ | 作成日時：2022年2月6日 11時
