17【新参】 ページ17
構内に入ったは良いものの、余りにも広すぎて職員室が分からず校舎内を彷徨っていればいつの間にかグラウンドに来ていた。
「何故」
思わず口に出ていて、誰か生徒は居ないかと当たりを見渡すもまだ誰も登校していない時間帯の為人影すら見えない。
取り敢えず校舎内に戻ろうと振り返れば、遠くの廊下を相澤が歩いているのが見え、相澤さん！と声を上げて駆け寄った。
「廊下を走るんじゃないよ。…で、何でこんな所に居るんだ」
「すいません！あの…職員室は何処でしょうか？迷ってしまって」
「何回も来てるだろ。何で迷うんだ」
「何時もは正門まで誰かしら迎えに来て頂いてて、それに甘えていまして」
えへへと笑うAに、思い当たる点が有るのか少し黙っていた相澤だが、覚える気皆無じゃねぇかと呟いていた。
案内してやるから一回で覚えろよと言われたので力強く頷いて見せた。
行くぞと足を進めると、職員室に向かう迄の間に幾つか専門の教室や保健室、仮眠室などを案内してくれた。
何だかんだ言って意外と面倒見が良いんだなと斜め前を歩く相澤を見つめていると、その視線に気付きチラリと視線を此方に向けた。
「どうかしたか？何か言いたげだが」
「いえ、職員室以外も案内して下さるんだなと思いまして」
「何回も教えるよか良いだろ。その方が合理的だ」
「確かに」
相澤の台詞に納得している内に、無事職員室にたどり着いた。
覚えたか？と言う相澤に、大丈夫そうです、ありがとうございましたと御礼をすれば、揃って職員室に入室した。
後日再びグラウンドにて、何故…と佇んで居るAを目撃する事になるとは今の相澤に知る由もなかった。
「本日から此処で、共に働く事になったAくんさ！もう皆知っているだろうから自己紹介は省かせてもらうよ！」
「不慣れな点が多いかも知れませんが、早く慣れる様努力致しますので何卒、宜しくお願い致します」
職員室にて、朝の朝礼で校長から紹介を受けて皆に挨拶をすれば、暖かい拍手と待ってたぜー！と元気なマイクの声が聞こえて少し照れながらも微笑んだ。
「そして此処には居ないが、オールマイトも本日より教員になるから宜しく頼むのさ！Aくんは彼とリカバリーガールの補佐を受け持つよ」
何故まだオールマイトが来ていないのかと言う声が上がれば、此方に来る途中で敵を見つけて対応中と連絡があったと根津が一言添えた。
早速仕事が増えたなと考えながら根津の話の逸れたスピーチに耳を傾けた。
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作者名：カピバラ | 作成日時：2022年2月6日 11時
