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「いっ…！」
「無駄よ。踠けば踠く程締め付けるわよ」
「天子さん！」
刀で切り離そうと身体を動かせばギチギチとキツく締め付けて棘が更に食い込み、痛みで思わず顔を顰めてしまった。
すると突然女鬼はクスリと笑いAの首筋をぺろりと舐めて来たではないか。
突然の出来事に肩が跳ね高い声が口から溢れた。
「あら、可愛い声出せるじゃない。もっと聴かせて？」
そう言えば嫌がるAの耳に身体から滲み出ていた血をなすり付け、其れをじゅるじゅると舐め吸い始めた。
「あっ、やめ、んんッ…！」
「はぁっ、美味しい」
身体に刺さる棘、締め付ける蔦、休む事なく舐め吸われる耳に碌な抵抗も出来ずに、勝手に跳ねる肩や口からこぼれる甘く高い声に情けなくなり、瞳に涙を溜めた。
その涙を見た女鬼は、嬉しそうにその目元にちぅと唇を押しつけ涙を吸い取った。
ザンッ
女鬼目掛けて鋭い斬撃が放たれ、跳び退いた女鬼は舌打ちをして、邪魔するんじゃないわよ！と激怒した。
支えが無くなったAは力が抜けてドサリと倒れ込みそうになり、次に来る衝撃に目を瞑ればふわりと何かに抱き止められた。
「あ…杏寿郎さん？」
「此れを羽織っていなさい」
「有難う御座います」
目を開いた其処には、此方を見ぬ様にサッと己の羽織を被せられた。
被せられた羽織をきゅっと掴めば、ふと身体に巻き付いていた蔦は細切れになり地面に散らばっている事に気が付いた。
先程の攻撃の時に一瞬で斬ったのだとろう全く気が付かなかった、と思っていればふわりとした浮遊感に驚き、思わず抱き止めていた杏寿郎の胸元に縋り付いてしまった。
女鬼からの攻撃を一瞬で読み取りAを抱き上げて避けたのだった。
杏寿郎は女鬼から距離を取り、物陰にそっとAを降ろした。
「君は此処に居なさい！」
そう言えば女鬼の元へ戻って行った杏寿郎の背中を見送った。
己の格好を見れば、無理に動いたせいか着物は着崩れしボロボロに裂け情け無い姿になっていて、何も出来なかった不甲斐なさと情け無さに唇を噛み締めた。
「男に興味ないの、貴方達みたいな男臭い筋肉団子は特にね！良い所だったのに…許さない！」
女鬼は再び癇癪を起こし、もの凄い形相で杏寿郎に向かって攻撃を仕掛けて来た。
「炎の呼吸、壱ノ型 不知火！」
「おーおー、派手にやってんなぁ！」
「さて、こっちもおっ始めようぜ？最高の快楽を与えてやるよ」
男鬼はニヤリとヤラシイ笑みを浮かべ宇髄を見た。
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作者名：カピバラ | 作成日時：2021年2月20日 9時
