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「今日は甘えたさんですね。よしよし、良い子良い子」
あまりにも普段の姿と駆け離れていた為、冗談がてらに幼子にする様に背中を撫でれば、再びぎゅうと抱き締める力が強くなり無言でグリグリと首筋に己の額を擦り付けて来た。
「…本当にどうしちゃったんですか？何か言いたい事でも有るのでは？それならば言って頂けないと分からないですよ」
「…た」
「ん？」
「…Aの事になると最近どうも我慢が効かなくなってしまってな。宇髄ともそうだが、今まで無かった不死川から連絡が来た時にはもう我慢の限界だった！柱として、男として不甲斐無し！」
抱き締めたまま話す杏寿郎の言葉を頷きながら聞けば、我慢と言う単語に疑問を抱き何を我慢したのかを聞いた。
Aからでは無く不死川から連絡が来た事や不死川の着流しを着ている事、そしてAから香る匂いが気に食わなかったらしい。
「成る程、そうでしたか…、話て頂いてありがとう御座います。連絡に関して直ぐに私から連絡しなかった事は謝ります、申し訳ありませんでした」
「Aが謝る事ではない！俺が不甲斐無いだけなんだ！」
「そんな！不死川殿の元へ行く時に連絡するべきでした。次からは必ず連絡致しますので」
そう伝えれば杏寿郎は何処となく満足そうに頷いた。
ただ…とAが言葉を濁せば、ん？と首を傾げた杏寿郎に、着流しと匂いについてのあたりがよく分からないと言えば理由を話始めた。
「…好いている相手が他の奴の着流しを着て、ましてや其奴の石鹸香りがするのが気に食わなかった」
そう言えば恥ずかしそうに、真逆自分が此処まで余裕こ無い男だとは思わなかった、穴があったら入りたい！と叫んだ。
それを聞けば、着流しを渡して来た理由や先程の違うと呟いていた事に合点がいき、杏寿郎が不死川にヤキモチを焼いたのだと理解した瞬間カァッと顔が熱るのを感じた。
ドキドキと早くなる心臓とぽっぽと熱る頬を誤魔化す為に、今度はAが杏寿郎の胸元に額を擦り付ける番だった。
突然の行動に驚いた杏寿郎だったが、その行動と顔を伺う事は出来ないが真っ赤に染まった耳が目に入り、余りの愛おしさに再度強く抱き締めたのであった。
「愛い！愛い！」
「やめて下さいっ」
「どうしようもなく愛おしい！」
「〜っ！」
強く抱き締められて抵抗出来ずにいれば襖の外から、兄上、其処にいらっしゃるのですか？と千寿郎の声が聞こえれば抱き締める力が緩み、助かった！と抜け出そうと動いた。
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作者名：カピバラ | 作成日時：2021年2月20日 9時
