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何故か落ち込んでいるAも女性からの熱い視線も気にせず、二人は長い足でスタスタと歩く。
それをちょこちょこと付いて歩くAの姿を見た街の女性達が可愛いと話ているのを、耳の良い宇髄は聞き逃さなかった。
すると、宇髄が突然グイッとAの肩を引き寄せたかと思えば、顔を近づけて耳元に口を寄せた。
女性達の黄色い悲鳴が聞こえてニヤける宇髄を他所に、どうかしましたか？と耳を傾けるA。
「今日は天子じゃねぇのな」
「必要ないので」
Aの言葉に宇髄は、派手につまらないとツンと唇を尖らせた。
子供の様に拗ねる宇髄の頭をまるで子供の駄々を言い聞かせるかの様にポンポンと撫でてやれば、驚いた顔で此方を見た。
「宇髄殿はまるで大きな子供ですね」
クスリと笑ってそう言えば、わははと大きな声の笑い声が聞こえ、違いない！と杏寿郎が同意した。
「この面子じゃあ、俺が一番歳上だろ！」
「はは！残念だが宇髄、Aは君より歳上だ！」
そう言った杏寿郎の言葉に嘘だと否定するも、杏寿郎の顔とAの顔が嘘を言っている顔付きでは無い。
「だったら煉獄！何でお前が呼び捨てでしかも敬語さえ使ってねぇんだ！？」
「ああ、それはAからの頼みだったからな！」
「はい、それは私がお願いしました。杏寿郎さんは私の師範ですから」
宇髄は再度嘘だろと顔をヒクヒクさせて、急にAに対して敬語を使い始め、Aは慌てて其れを止めに入り、宇髄殿は柱ではないですか！と伝えれば確かに！俺は柱だと納得し、今まで通りに接してもらえる事になった。
そんなこんなで宇髄一押しの店に付き、Aは目の前に出された里芋の煮物に眼を輝かせている。
向かいに座っている宇髄はそれをニヤニヤと微笑み眺めていて、隣に座っている杏寿郎はうまい！うまい！とさまざまな料理に手を付けていた。
「食わねぇの？」
「いえ…、頂きます」
宇髄の視線に促されパクリと一口頬張れば、Aの顔がみるみる内に蕩けて正に幸せですと言っている様な顔付きになった。
美味しい…！と口から漏れた言葉に、宇髄は満足そうに笑い沢山食えとAの頭を一撫でした。
が、宇髄はサッと手を引きひらひらと手を振り何かを言っているがAは目の前の里芋の煮物に集中していて気にならなかった様だ。
「宇髄殿、御馳走様でした」
「宇髄！感謝する！」
「おう！…だが煉獄！お前は食い過ぎだ！」
宇髄の奢りで腹を満たした三人は店を出て歩き出した。
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作者名：カピバラ | 作成日時：2021年2月20日 9時
