94話目 ページ34
スポドリ作りが終わり、休憩に入る前に早く持っていこうと体育館へ小走りで向かう。
幸いまだ休憩には入っていなかったのでスポドリを邪魔にならないように隅に置き、救急セットの確認をする。
この合宿中はあまり大きなけがはなかったが、枝に引っ掛けただの摩擦で剥けただの小さな傷が多かった。
そのため絆創膏などを潔子さんが買ってきてくれた。
各高校で必要な分補充してほしいと言われたのでお言葉に甘え、うちも少しもらおうと思っているのだ。
そのためどのくらいの大きさのものをどのくらい補充しなければならないのか見ておかなければならない。
見てみると少し大きめの絆創膏だけがかなり少なくなっていたのでもらってくるのはそれだけでよさそうだった。
監督に「行ってきます」の旨を伝えて食堂のほうへ向かう。
絆創膏ここに置いとくから。と連絡された場所につくと、先程ぶつかった長身の人が絆創膏をあさっていた。
「どうかしました？」
そう声をかけると
「えっ？！」と驚いて声を出し、こちらに勢いよく顔を向ける。
確か音駒の…リエーフみたいな感じの名前だっただろうか。と考えていると
「あ！！あの！！！」
私が声を出すより先に大きな声で「このことは誰にも言わないでほしい」という旨の言葉を紡ぐ彼に、「何かあったなら手当てするのでそこ座ってください」
と伝え、椅子に座るように促す。
「ありがとう。」と感謝の言葉と一緒に素直に座った彼の患部を見ると、大きめの擦り傷があった。
血はまだ止まっておらず、痛々しい見た目の傷からとめどなく血が垂れている。
「洗いましたか？」
そう聞くと首を縦に振ったので消毒をしていく。
「沁みるかもしれませんが我慢してください。」
消毒を患部にかけると「いったぁ？！？！」と大声を上げる。
涙目になっていたが伴倉庫をはり終えると「ありがとうございます！！」と再び大きな声で感謝を伝えてくれた。
「たしか音駒のマネってうちの傘村だよね？
手当てしてくれなかったの？」
そう聞くといいにくそうに
「はい」と肯定の返事をする。
理由を聞くと「よくわからないが仕事もそんなにしないし、怪我をしたところで心配すらしてくれない」というような話をしてくれた。
それに対し監督は何も言わないのか
そんな定番みたいなことしてくるか
少し疑いはあったが後で黒尾さんにでも聞いてみるか、と思い
「そうなんですか、なんかすみません。お大事にしてください」
と長身の彼を送り出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 454人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちか(プロフ) - 及川さんとの絡みが好きすぎます！ (2021年8月24日 2時) (
レス) id: 04ec5ad602 (このIDを非表示/違反報告)
白夜のダンテ(プロフ) - 割と素直なぬこさん» ありがとうございます。新作の件、参考にさせていただきます。木兎さんとの絡み…できる範囲でやりたいと思います。コメントありがとうございました。 (2021年6月24日 20時) (レス) id: 78c0d6e1f2 (このIDを非表示/違反報告)
割と素直なぬこ - 連続でコメント失礼します。新作どれも面白そうなのですが、せんぱい！をけんまで見たい！私の推しが木兎サンなので本編で絡みもっと欲しい！図々しくすみません…… (2021年6月23日 22時) (レス) id: 146f38e7d4 (このIDを非表示/違反報告)
白夜のダンテ(プロフ) - 割と素直なぬこさん» ありがとうございます！ (2021年5月18日 20時) (レス) id: 78c0d6e1f2 (このIDを非表示/違反報告)
割と素直なぬこ - 続編おめでとう！！頑張ってください！ (2021年5月18日 6時) (レス) id: 348a770f9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫苑 | 作成日時：2021年5月16日 21時
