なんででしょう？【青葉城西】3巻

74話目 ページ11

国見side

「なんでですか、なんかしましたか」

国見のせいだよ、そういった先輩の声は震えていて、いつものように冗談で言ってるんではないことはすぐにわかった。

そして。怒っている理由に心当たりもあった。

さっきの食堂での出来事だ。

先輩が見ていなくても、きっとマネの中の誰かが見ていて、それが伝わったのだろう。
しかし面倒なことになった。

この人がすんなり話してくれるとは思えない。
そして同時にさっきの話を信じているとするなら、先輩の俺に対する信頼を失ったことになる。

「国見には、関係ない」

「俺のせいなのに関係ないんですか。
なんか気に障ることしましたか？教えてくださいよ」

「私のこと、見てて滑稽だとでも思ってたんでしょ？」

あぁ、やっぱりあれのせいで怒っているのか。
しかし、理解していてもかける言葉が見つからずに俺の口は動かない。

誤解です、違います

そんなありきたりな言葉では信じてくれないことは明白だった。

「A先輩」

名前を呼ぶとこちらをやっと振り返ってくれた。

しかし俺のことを見てくれているわけではなくて、先輩の目は伏せられていた。

「説明したら、納得してもらえるかなって思って説明するわけじゃないですからね」

許したくないなら、それでいいですから。
俺は、先輩の意見を尊重したいですから。

嘘だ。
でも、こういわないと何も聞いてくれないんじゃないかと思ってそう前置きをして話し出す。

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