3・意味深とリップクリーム ページ4
「えー、ちょっと中身見て見てよ」
まあ、そんなことは切羽詰まっている彼女にはどうでもいいことだった。最早善悪の判断すらままならない。
この際誰でもいいからこの呪いの紙袋を見て欲しいと、彼女はアケミに紙袋を明け渡す。
「自分で見なよ〜、ラブレターかもしんないじゃん」
しかし、アケミは笑いながらそれを受け取ろうとはしなかった。
「それはないって、まあいいや、とりま見るね」
ラブレター、という言葉に背筋が凍る。
別に七瀬くんに悪意はなくとも気持ち悪いと思ってしまった。
だって、一言も言葉を交わしたことのない人からのラブレターは怖い。たとえ物凄くイケメンな人から貰っても怖い。
好意のない人から押し付けられる更衣ほど、怖いものってないじゃない。
本当は見るのは嫌だ、怖いけれどその可能性をアケミが信じているのなら、
その可能性を払拭するために彼女は紙袋を見ることを決意した。
紙袋の持ち手を開く。
「…リップじゃね、これ」
自分で見なよ、そう言いながらも、アケミは誰よりも早くに紙袋の中身を覗いてそういった。
紙袋を覗くと、そこにはリップのような短い棒状のものが入っていた。
こんな立派な紙袋の中に、少しの包装すらされていないリップクリームが入っている。
それはそれでおかしいし、喋ったことの無い人から貰ったリップクリームには嫌悪感を覚えるが、
彼女は安心していた。
てっきり、知らぬ間に恨みを買っていて、
呪いの人形とか、ストーカーをしていた証拠とか、その他もろもろの気持ち悪いか怖いものが入っていなかっただけましなのだ。
「リップ…だよね〜」
「リップでしか無くね？」
「でもなんでリップ入ってんだろ…怖いわ」
「Aのことが好きなんじゃね？」
「まじやめてよ、怖い」
Aのことが好き…冗談でも、言って欲しくない言葉だった。
知らない人から向けられる好意が、こんなにも気持ちの悪いものだったなんて。
普段アイドルが握手会をしているのを見たり聞いたりしても、当たり前としか認識していなかったけど、この体験をしてやっとその苦労がわかった。
「嫌悪感剥き出しなの笑うわ」
「もう、こっちは本気で悩んでるのに」
「ごめんって。…でもこれAが男で七瀬がイケメンだったら萌えてたわ」
「でた腐女子。ほんと怖いわ〜」
「Aも見てみなよ。意外といーもんだよ、萌えるし。最近ハマってる支部のリンク後で送っとくわ」
それでも、アケミはいつも通りだった。
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なす - 好意のない人から押し付けられる更衣になってますよ〜 (2022年4月25日 1時) (
レス) @page4 id: 6740f04f29 (このIDを非表示/違反報告)
うきび - 天才☆ (2022年4月24日 1時) (レス) @page4 id: 654256a91c (このIDを非表示/違反報告)
崇 - いろはさん» コメントありがとうございます！ナナオさんに読まれたら悶えますねwwとんでもなく恥ずかしいですw (2022年4月3日 0時) (レス) id: 8a6bf88ba9 (このIDを非表示/違反報告)
崇 - 名無し90169号さん» コメントありがとうございます！ナナオさん同士で紛らわしくも面白くなっちゃいますねw (2022年4月2日 23時) (レス) id: 8a6bf88ba9 (このIDを非表示/違反報告)
崇 - しらす星人さん» ゴリラといい雰囲気になるナナオさん、ゴリラに惚れ込むナナオさん、ゴリラに告白するナナオさん、どれをとってもカオスですねwww (2022年4月2日 23時) (レス) id: 8a6bf88ba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：崇・ナナセストの権化 | 作成日時：2021年6月29日 22時
