とこしえのゆめ (ページ13)

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「えーっと、ライトニングさん？」
「なんだ」
「この手はいったいどういう──ひぇっ」

じろって睨まれた。美人が睨むと怖いのは身をもって知りたくはなかったなあ。でもそれを言ったら今度は睨むどころじゃ済まない気がしたので黙ることにする。

沈黙が痛い。連行されてる感じがある。いや実際連行だからそれで合ってるけど。ガラス質のヒトガタ達に多勢に無勢を強いられてた(一対百ぐらいならともかくあの物量はさすがに厳しい)私を助け出してくれた彼女は、名前だけ名乗ると私の手を掴んでずんずん歩き出したのだ。なんで、とかその時は聞ける状況じゃなかった。
あのヒトガタ達の敵。なのは、確かだ。でもそれは、私の敵じゃないのとはまた違うんだよね……。困った、どうなるんだろう。

「──そう不安そうな顔をするな。お前や私を喚んだ神のもとへ連れていくだけだ」

また前を向いて歩くさなか、ライトニングさんはそんなことを言った。ばれてら。そりゃそうか。

***

「えっ」
「……」

神のもと(ライトニングさん曰く秩序の聖域)で告げられたのは、なんともわけのわからない真実だった。
ざっくり要約すると、「喚んではいないけどどちらかといえばこちらの影響下にある」。さっぱり意味がわからない。隣にいるライトニングさんもぎゅっと眉を寄せて怪訝そうなカオ。

「ええと、いっかいまとめさせて。ひとつめ、ここは異世界。ふたつめ、私たちが帰るにはカオスを倒さなきゃいけない。みっつめ、私が襲われてたヒトガタはイミテーション。よっつめ、私はあなたに召喚されたわけじゃない。……ここまでこれで合ってます？」
「はい、概ねそのように考えてくださって構いません」

なら話は比較的簡単だ。私のやるべきこともハッキリしてる。さっきとは反対で、今度は私がライトニングさんの手を取った。

「ねえ、ライトニングさん。できる範囲で構わないから、この世界を案内してもらってもいい？」

たぶんこれは、神さまには頼めない。今も世界に向けられてるこのひとの力は、ここから離れたらだめな気がする。世界を続けていくための力は、私も持っているからよく知ってる。

「あまり期待はするなよ。それから、」

ライトでいい。視線を逸らしてそう言ったライトニングさん──ライトに、なんでなのかは分からないけど無性に「お姉ちゃん」と呼びかけてみたくなった。