ただ好きなだけ。Yuri.C

#6 ページ6

.









「…ねえここどこなの」









知念「………あ。」









侑李が上を見上げたそのとき。




いろんな色の花火がと歓声があがる。









「わぁ…すごいきれい！ね、侑李」









知念「うん」









何かを考えるようなその横顔に
ふと疑問に思ったことを素直に口に出した。









「…ねえ、侑李っていままで彼女とこういうとこ来たことあるの？」









聞きたくないような、聞きたいような、









知念「ないよ」









何もうしろめたいことはない言い方で
あぁこれはホントなんだなって









「それならいいの？彼女でもない私とこんなとこ来ちゃって…」














知念「Aが言ったんじゃん、行きたいって」









「そうだよね、はは」









知念「…僕はよかったよ。花火大会、Aとこれて。」











知念｢あ、言い忘れてた。浴衣。悪くないんじゃない？｣









ついさっきまで花火を見上げてた侑李は、
口角をきゅっとあげて
わたしの目をしっかり捕らえて言った









「…ばかじゃないのほんと。」









知念「Aよりはばかじゃないけど。」









「うっさい！」









知念「ふふ…、」









付き合ってなくても、こういう風に笑い合えるなら
幼馴染みでもいいかな、って。









気持ちを伝えて今の関係がこわれるくらいだったらいい。









今日。





自分の気持ちに蓋をした夏がおわった。









.

#7→←#5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す