探偵達はカフェにいる【オリジナル】

リコリスは……え、いらない？　あ、そうですか…… ページ14

　現在、私は困っている。今リコリスさんが来ているのだけれど……なにも料理を頼んでくれない。前の話でムジカさんが頼んでくれたのだから、流れ的にリコリスさんも頼んでほしいんだけれど……なにぶん彼女は少食も少食、超少食なので滅多に料理を頼んでくれないのだ。

「お願いしますよリコリスさぁん！ 私の料理食べてくださいって！」
「生憎ですが、俺はあまり食事が好きじゃないんですよAさん、ごめんなさい」

　やっぱり頼んでくれないのか……いや、なにを恐れているんだA！ 自分の料理スキルには自信があるだろう！ リコリスさんだって一回食べれば私の料理の素晴らしさに気が付いてくれるはずだ。
　というか頼んでもらわないと困る。ただでさえ閑古鳥が大合唱しているような経営状態なんだ、少しでも利益を出したい。おかしいでしょうよバイトを雇うお金さえないなんてさあ！！

「リコリスさん。私ゃね、このカフェの為にいっぱい料理スキルを磨いたんですよ。どうかメニューだけでも聞いてくださいよ後生ですから」
「……分かりました、メニューだけなら」

　よしよし、ここまでは順調。メニューを言って気を引いて、それでリコリスさんが料理を頼んで万事解決。頼みますよ、カフェ『レッツェル』の今後と私の首吊りEND回避の為にも！

「それで、どんなメニューがあるんです？」
「まずはオーソドックスなサンドイッチ、ハンバーガー、あとはオムライス、パンケーキ、パフェ……」
「美味しそうですね」

　興味を示してきている！ いいぞ！

「簡単な手作りピザ、パスタ、ドリア、ホットドッグ、ケーキ……それに、枝豆もありますよ！」
「ちょっと待った」
「それに……やみつきキャベツ、たこわさ、焼き鳥なんかも！」
「なんで居酒屋に寄ってるんですか、カフェとしておかしいでしょ」
「おかしくないですよ！ 他にも煮卵、だし巻き卵、とんぺい焼きだって作れますからね！？」
「謎の卵推し」

　あれえ、今言ったの結構人気のある方のメニューなのにおかしいなあ。

「じゃあ寿司なんてどうです？ 握れますよ？」
「なんでさも当たり前のように握れんだ、修行にでも行ったんですか」
「流石探偵！ 正解！」
「んな事しているから貧乏なんでしょ」
「じゃあ土瓶蒸しだけでいいから頼んで！」
「和食に寄るな」
「お願いしますよ！ なにか頼んでください！」

　両手を合わせて頼み込んだ私に、リコリスさんは無慈悲に首を横に振った。

「……え、いらない？ あ、そうですか……」

　ああ、どうなるのカフェ『レッツェル』……

スカーレットは特大チョコパフェがお好き→←ムジカはビターチョコがお好き

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