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29話 ページ34
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「あ〜……ねむ……」
ノートパソコンを右手に抱え、左手には数冊のファイルを抱えた麻日奈はそう言いながらエレベーターのボタンを押した。
ガク、と少しボックスが揺れると麻日奈が指定した階に着き、エレベーターの扉が開いた。
「……！ 六乙！？ あんた今日は仕事ないから家に帰れって言われて……！」
「それ、帰ったら切られるだけだよ。どんくさいな〜。どうせ私が大分ダメージ受けたから使い物にならない〜、とでも考えたんじゃないの？ 知らないけど」
そういうと、六乙は無理矢理にエレベーターに乗り込んだ。麻日奈はエレベーターから降りることはできず、その扉は閉まる。
「……六乙、メイビスのこと恨んでたりする？」
沈黙にたえられず六乙に話しかける麻日奈。
「別に。もう、どーでもいいよ。飽きちった」
ぺろ、と舌をだしてへらへらと笑った。
「私が生涯を通して殺したその先を見てみたいって思う相手は北条陸津だけ。そこに別の肉片を挟みたくないんだよね。……あ、言っとくけどその肉片に麻日奈も入ってるからね」
ピッ、と麻日奈に人差し指を向けると六乙は指定の階に着くとそそくさとエレベーターから降りていった。
エレベーター内に残った麻日奈は扉が閉まるのを待った。
「肉片はお前も同じだよ」
エレベーターの扉が閉まる。
箱は下に落ちていく。
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