25話 ページ29
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匂ってくる血の匂いに顔を顰めながら、警察官・
二コール目で相手が出た。「お疲れ様」の第一声に、思わず姿勢を正す。
「
『ごめんなさいね。私もまさかあちら様が躊躇なく車で突っ込んで来るなんて思わなかったのよ』
「それと、そろそろ限界です。美麻様には大変お世話になりましたが、反社の人間とつるんでいることがもしバレたら、警察は……」
『安心しなさい。情報局の首輪のリードも私が握っているようなものだから。警察の一部だってあなたのように……ね？』
春夏冬がはぁ、とため息を吐くと、美麻が電話越しにふふっと笑ったのが分かった。
『それより、あなたに怪我はない？』
「車の音は聞こえていたので」
『良かった。あなたが無事ならそれでいいわ』
声色に嘘は感じられない。全くこの人は、こういうところが……と、絆されている自分に気付いて苦笑する。
「……ですが、多くの仲間が怪我を負いました。美麻様」
『分かってるわ。責任は取る。壊俐崇會は、私達が潰す。必ずね』
「……任せましたよ」
救急車のサイレンをBGMに、春夏冬は電話を切った。
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「ってて……！」
「もっとキツくして。容赦なく」
「な、お嬢、待っ……〜〜〜！！」
悶絶する凛の頭を小突いて、お嬢……もとい美麻遥はいわゆる闇医者と呼ばれる男の医療具から麻酔を取り出し床に投げ捨てる。
「ああっ」と悲鳴を上げた凛に仁王立ちしてみせた。
「私の言うこと聞かなかった罰よ。その脚の痛みを忘れないことね」
「っだって、」
言いかけた蓬莱の口に黒いものが押し込まれた。
「それでも噛み締めて我慢なさい」
大人しく押し黙った凛だったが、じわりと滲んできた鉄の匂いに、ゲホッと吐き出した。
「これ、北条の血じゃないかっ。なんてもの咥えさせるんだお嬢……！」
「それが三人に自信作のローブを破り捨てられた
「……春香と、咲良は」
「浅葱が診てる。命に別状はないけど、重症ね」
「……」
拳を握りしめた。目を瞑ると、殴りつけた壊俐崇會の若頭の顔が浮かんでくる。
……今夜は、眠れなさそうだ。
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