序章3＃ ページ4
あたしも知らなかったけど、丁寧に整えられた植木の奥に、古いりんごの木があった。
りんごの木を囲うように木が植えられている。太陽の光をその葉に受けて輝く体はとても綺麗だった。
「すげーだろ。この前こっそり抜け出して、見つけたんだ。」
見惚れているあたしたちにそう言って、ルースはその木の下に落ちていた一つのリンゴを手に取った。
血のように真っ赤な、まるで生きているようなりんごだった。
「すげーよな。」
そのリンゴをじっと見つめて、感慨深いというようにルースは言う。
「ニュートンって科学者は、りんごが木から落ちたのを見て、万有引力を見つけ出したんだ。ただの何気ない一瞬に、地球の力を感じた……」
「……うん。すごい」
その目に引き込まれるように、あたしは頷いた。
ルースは同調してもらえたのが嬉しかったのか、ニッと歯を見せて笑い、腕を伸ばしてリンゴを太陽に掲げた。
「僕、将来は科学者になりたいんだ。それで、僕を捨てた母さんが悔しがるくらい、すげー賞とってやる！」
「！」
そうか。ルースは母親という存在から、捨てられてここに来たのか。初めて知った。
なら、あたしは？ あたしはなんで、ここにいる？
「Aは？」
「え」
「Aは将来、どうなりたい？」
「……あたしは、」
考えようとした。けど、あたしから見えるルースの姿が、ただ眩しくて、眩しくて……。
……何も口にできなくなってしまった。
「……分からない。」
「ふーん」
「けど……いつか見つけたいなって、思う。」
「……そうだな！」
リンゴ、食うか？ とルースは尋ねる。
地面に落ちたやつは……というあたしの心境を察してか、取ってきてやるよ、と木に登り始める。
運動神経のいいルースは、するすると木に登って、美味しそうに実った真っ赤なリンゴをもいでくれた。
「ほら、受けとれよ……って、わあっ！？」
バランスを崩し、大きく傾くルースの体。
それが目に留まった途端、気がつけばあたしの体は動き出していた。
「ルース！！」
「！ Aっ…」
ルースの体を受け止めた、強い衝撃。
そして、呟かれたあたしの名。
それを最後に、あたしは意識を手放した。
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杳覇(プロフ) - 初見朧さん» ありがとーー！！ あっ。すごい。ほんとだ。気付いたけど偶然。すっごい偶然。花言葉が綺麗だったから……。 ありがとう！！ 頑張ります！！ (2020年12月4日 16時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 新作！！！待っておりました！！！……多分偶然。そう。偶然。別に私とは何の関係もな(何とは言いませんが)頑張ってねー！ (2020年12月4日 16時) (レス) id: aad0c5d4c9 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» お早いコメント！！ありがとーー！！ 頑張りますっ！！ (2020年12月4日 16時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 新作！！楽しみ！！杳覇のペースでがんばってね！！ (2020年12月4日 16時) (レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec4/
作成日時：2020年12月4日 16時
