運命8＃ やられた ページ14
「……ん？」
彼女の様子に違和感を感じ、鬼道は再びバッグを開く。
するとどうだろう。先ほどまでそこでおとなしく眠っていたはずの長財布が、忽然と消えている。
鬼道は目を見開いて、女のほうを見た。
女は一瞬鬼道のほうを振り向き、目が合うとスピードを上げた。
「……あ、あいつっ」
鬼道はギリっと唇を噛み、その背中を追いかけた。
やられたっ。うまいスリの常套手段だった。
スリがいると聞き、危機感を持った鬼道は、あの女の言う通りに確認してしまった。
それが彼女に獲物の場所をまんまと教えてしまったというわけだ。
幸い、すぐに気づけたからよかったものの、女が見覚えのある顔じゃなければ家に帰るまで中を見ようともしなかったろう。
再び会えたら、自分に正しい道を示してくれた彼女に礼を言うつもりだったのに。
「……逃すかっ」
裏切られたような怒りを胸に、鬼道は同じ鞄から、サッカーボールを取り出した。
気づいたときにはもう、ぶつかった後だった。
まさかスろうとした相手が顔見知りだなんて思いもしなかったのだ。
幸い彼はAのことを覚えていないようだったので、予定通り仕掛けてこの金の入ってそうな財布をいただくつもりだった。
だが、途中で気づかれたらしい。彼はAと目があうと、血相を変えて追ってきた。
舐めんなよ、とAは舌なめずりをする。
こちとらこの脚に命かけて数年だ。簡単に捕まってたまるかよ。
Aは男を撒くため、路地裏に逃げ込んだ。
この奥のことなら、世界中の誰よりも知っている自信がある。
デタラメに動いて、混乱させてやる。
そのとき、Aの頭上を、何か得体の知れないものが駆け抜けた。
「……へ？」
それはガンガンガン、と壁に当たって跳ね返り、Aをその場に拘束する。
Aはそれが何か分かった。と同時に、その正体に目が点になる。
たった一つのボールだった。
「うおおお！？」
そしてそれがAに向かって突進してくる。
慌てて避けたが、ボールは瞬く間に跳ね返り、ヒュッと声にならない悲鳴をあげたAの横スレスレを打ち抜いた。
ボールのラッシュが止み、人の気配がしてAは振り向いた。そこでは、先程のあのスピードのボールを難なくトラップしたらしい鬼道が、ひょいとボールを蹴り上げて手のひらに乗せていた。
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杳覇(プロフ) - 初見朧さん» ありがとーー！！ あっ。すごい。ほんとだ。気付いたけど偶然。すっごい偶然。花言葉が綺麗だったから……。 ありがとう！！ 頑張ります！！ (2020年12月4日 16時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
初見朧(プロフ) - 新作！！！待っておりました！！！……多分偶然。そう。偶然。別に私とは何の関係もな(何とは言いませんが)頑張ってねー！ (2020年12月4日 16時) (レス) id: aad0c5d4c9 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» お早いコメント！！ありがとーー！！ 頑張りますっ！！ (2020年12月4日 16時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 新作！！楽しみ！！杳覇のペースでがんばってね！！ (2020年12月4日 16時) (レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec4/
作成日時：2020年12月4日 16時
