第377話 ふざけないで ページ14
「……ん？」
『っ！？』
それまでニヤニヤ笑っていたデスタが、動きを止めた。
突然クイッと顎を持ち上げられ、デスタの顔がぐっと近付く。
ギョッとする。爛々と輝く双眸が目の前にあった。
「……お前、よく見りゃ中々カワイーじゃねぇか」
『はぁっ？』
「俺の女になるなら、見逃してやっても良いぜ。あの場にいた赤い眼鏡の女も、お前に似た波長だったしな」
赤い眼鏡の女……春奈を見殺しにしろと？
『ふざけないで！』
指を振り解き、地面に倒れ込みながら蹴りを放つ。
けれど武道なんてやっていやっていない私の足は、彼に悠々とかわされて空を切った。
……こいつ、私をからかって楽しんでる。ダメよ、流されちゃ。
少し距離を取りながら、私は再び彼を見上げた。
『……あなたも、サッカーするんでしょう』
「あ？」
『天使のボールをトラップした動き……サッカーやってないと出来ないわ、あんな芸当』
「フッ……ああ、もちろんさ」
どこから取り出したのか、それとも彼らの術か何かなのか、デスタの足元にボールが現れた。
トンッと蹴り上げて、器用にも爪先に乗せる。
「この小さな球一つで、力の優劣を決める……良いじゃねえか」
『……サッカーは、そんなことのために使うんじゃないわ』
「……は？」
冷たい目で睨まれる。けれど怯まない。
あの人が愛したサッカーを、知っているかのように語るこいつに怒りが湧いた。
『サッカーはもっと楽しいものよ。仲間とパスを繋いで、相手を抜けたら嬉しい。抜かれたら悔しい。シュートが決まると嬉しい。決められると悔しい。
振り返れば共に走ってくれる仲間がいる。前を向けば、真っ直ぐに向かってくるライバルがいる。そしてそこには、サッカーを愛している人しかいない。
そんな素晴らしいことが、なぜ分からないの！？──あっ！！』
「うるせええ！！」
鳩尾を襲う激痛に、息が出来ない。
なす術なく吹っ飛ばされて、壁に打ち付けられ、その場に転がる。
デスタのボールが蹴り込まれたのだと気付くのに、そう時間はかからなかった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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杳覇(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！！よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年6月7日 19時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
みかん - フォローさせていただきました！名前が違いますが、よろしくお願いします！ (2020年6月7日 19時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 水の犬。さん» 水の犬。様！コメントありがとうございます！ひえええ嬉しいです(//∇//)最近あまり更新できず申し訳ありません……。頑張ります！！ (2020年6月5日 6時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
水の犬。(プロフ) - こんばんは。個人的になんですが香覇さんの書くお話、文章すごく素敵で好きです(｡・・｡)更新、香覇さんのペースで無理しない程度に頑張ってください！夜分遅くに失礼しました (2020年6月5日 0時) (レス) id: 88a373f457 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» 蒼乃ーー！！！そうなんです！！二年前の今日、黒翼の夜叉姫が始まったんスよ…！！ありがとおおお！！美麻ちゃんも大変喜んでおります！！更新頑張るよん♪( ´▽｀) 今回は何も考えずにぶっつけ本番だったけど、不動クンのイケメンパワーで乗り切った(( (2020年5月22日 16時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec4/
作成日時：2020年4月24日 17時
