命令53＃ 信頼と口下手 ページ8
No side
「ヒロト」
「！」
呼ばれた吉良が振り返ると、そこには円堂が、風丸と灰崎を傍らに立っていた。
中々ない組み合わせに、怪訝な顔をする。
円堂は、そんなヒロトの表情を見て、微笑んだ。
「話は聞いたぞ。気持ちは分かるが、ちょっと言葉がキツかったな？」
「……」
やっぱりそのことか、とヒロトは思う。
風丸はあくまでも優しく声をかけたが、ヒロトにはそれにすらも苛立ちを感じた。
口が悪いのはいつものことだろ。間違ったことも言っちゃいねえ。逆ギレしてきたアイツが悪ぃんだ。
黙っている吉良を見て、風丸は再び口を開いた。
「木野から、お前の放った言葉も聞いた。……言いたいことは、俺達には分かる。
だが、Aは、自分の存在自体を否定されたのだと思ったのかも知れない。」
「っ…！俺はンなこと言ってねえ！」
「そう聞こえんだろが！！」
つい声を荒げると、隣から灰崎に怒鳴り返された。
いつもなら更に怒鳴り返して喧嘩になるところだが、今の吉良の頭の中はAのことでいっぱいだ。
「それに、あいつなら冷静になりゃ、自分で……」
「あのなぁヒロト」
言葉を窄めたヒロトに、風丸が呆れたような声を出した。
「相手を信じるのは良いが、Aは俺達とは違う世界で生きてきたんだぞ。その辺も配慮してやれよ」
「お前も少しは伝える努力をしろっつーんだよ」
「……」
ヒロトは何も言わない。灰崎がキレそうになったところで、ずっと黙り込んでいた円堂が、口を開いた。
優しい表情をしている。
「もし、それを言ったのが別の奴だったら、Aは落ち込むだけで、言い返したりはしなかったと思うんだ」
「！」
「知ってるか？A、寝言で呟くんだぜ。『ヒロトさん、なんで、どうして』って。
……よっぽどショックだったんだな」
ヒロトの胸が、ズキンと痛んだ。
円堂は、言葉を噛みしめるように、ゆっくりと続けた。
「よっぽど、ヒロトのことを信頼していたんだな」
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杳覇(プロフ) - 陽菜さん» コメントありがとうございます！ どの辺りまでご覧になったのか存じ上げないのでネタバレになってしまったらすみません。今作の命令91でバラしています。 (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
陽菜 - みんな女の子だって知ってるの？ (2020年8月24日 19時) (レス) id: 0dcd5b296d (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» ありがとーう！！ええ凄いまだ見てくれていたの！？とっくに見放されていたかと……(( ありがとう！！更新ｏ(･д´･+)ゞ頑張ﾘﾏｯｽ♪ (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - りのくさん» りのく様ー！！ありがとうございます！！詳しくご感想頂き感激です…！！ そこです！漸く蓬莱ちゃんが女の子になったので、ヒロトくんには「後輩」ではなく「異性」として蓬莱ちゃんに接して貰います…！！ご期待ください！ 本当にありがとうございます(T ^ T) (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 氷浦メグさん» そうなのですね！時間が出来たらぜひ見に行きます！！お力になれたのなら幸いです＾＾ (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年3月23日 10時
