命令67＃ 思いを受け止めよう ページ23
「……はあッ！」
「鬼道！？」
Aの腹にクリーンヒットしたボールが、灰崎の足元に転がっていく。
Aはうっ…と呻いて、その場に膝をついた。
Aのことは傷付けたくない。灰崎は戸惑いながら、鬼道の方を見た。
鬼道は、苦い顔をして言った。
「俺は……それでも一星を排除しなければならないんだ……。
A！聞こえないのか！！そこを退け！！」
「っ……嫌だ！！」
「……灰崎、やれ……」
「……チッ…！」
鬼道、そして灰崎からのシュートの嵐が、Aを襲った。
Aは彼らに背を向け、蹲っていた一星を抱きしめる。
「充さんっ……！！」
どれだけ強烈なボールが打ち込まれようとも、決して離そうとはしなかった。
「大丈夫……もう少し……もう少しだから……あなたは、僕が絶対守るから……」
「！！」
一星の脳裏に、蘇る記憶。
思い出されるのは、自身の片割れ、愛する兄弟のこと。
震える腕が、一星を抱えていた。
一方吉良は、目の前で痛めつけられていくAを呆然と見ていた。
一星のことは、排除すべきだと思っている。
だが、もしかしたら、このやり方は間違っているのではないか？
Aが体を張って守ろうとしているものを、俺は──……。
「……！」
とうとう、吉良の前にもボールが跳ね返って来た。
反射的に足でトラップする。
「吉良、やれ」
「ヒロト！Aの目を覚まさせてやるんだよ！！」
二人から声が飛ぶが、吉良は動けずにいた。
しっかりしようと思うのに、止まったままの足は微かに震える。
と、それを見ていたAが、動き出した。
一星をそっと離し、ゆっくりと立ち上がる。
一星と吉良の間に両腕を広げて立つ。そして──……。
「……」
「！」
吉良を真っ直ぐに見つめた。とても穏やかな表情で。痛いほど綺麗な瞳で。
笑みすら浮かんでいるように見える顔で、吉良を見つめていた。
それは最早、仲間を守ろうとしている目ではない。
吉良の思いを受け止めるつもりの目であった。
『大丈夫。受け止めます』
そう言っているように、吉良には見えた。
「(俺は……俺…は……！！)
〜〜〜〜ああああああああ！！」
絶叫して、ボールを思いっきり蹴った。
覚悟したAが、固く目を瞑る。
その時だった。
「──やめろぉぉ！！」
「「！」」
一人の少年が、そのシュートに割り込んだ。
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杳覇(プロフ) - 陽菜さん» コメントありがとうございます！ どの辺りまでご覧になったのか存じ上げないのでネタバレになってしまったらすみません。今作の命令91でバラしています。 (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
陽菜 - みんな女の子だって知ってるの？ (2020年8月24日 19時) (レス) id: 0dcd5b296d (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初見朧さん» ありがとーう！！ええ凄いまだ見てくれていたの！？とっくに見放されていたかと……(( ありがとう！！更新ｏ(･д´･+)ゞ頑張ﾘﾏｯｽ♪ (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - りのくさん» りのく様ー！！ありがとうございます！！詳しくご感想頂き感激です…！！ そこです！漸く蓬莱ちゃんが女の子になったので、ヒロトくんには「後輩」ではなく「異性」として蓬莱ちゃんに接して貰います…！！ご期待ください！ 本当にありがとうございます(T ^ T) (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 氷浦メグさん» そうなのですね！時間が出来たらぜひ見に行きます！！お力になれたのなら幸いです＾＾ (2020年4月14日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年3月23日 10時
