祝！第320話 河童っていうのは ページ4
「助けてくれえ！」
『！』
夕弥の声が遠くから聞こえて、咄嗟に走り出す。
後ろからついてくる音は聞こえない。
けれど、違う方向から、聞き馴染んだ足音が響いてきた。
「Aさん……」
「ヒロト……」
走りながら一瞬顔を見合わせ、再び駆け出した。
少し広い空間に出ると、ガサガサと枝や葉の擦れる音が大きくなる。
立ち止まった。私達の視線の先に、もがき苦しむ夕弥がいた。
『夕弥……？』
「Aさん！ヒロトさん！？」
……ツタに引っ掛かったのか、グルグルになってしまい、夕弥は解こうと暴れていたらしい。
その目がポカンと私達を見つめている。
「……何をやってるんだい？」
「何って……それより早く助けてよ！」
ツタを解きながら、夕弥にこうなった経緯を聞いた。
練習中、竜吾に「お前に取られるか」だの「根性が足りない」だの言われた腹いせに落とし穴を仕掛けたら、この林付近まで追いかけられたそう。
竜吾から逃げるために林に入って行ったら、ツタに転んでしまい、解こうともがいているうちに更に絡まってしまったみたいね。
「そういうことだったのか……そりゃあ染岡くんも怒るだろ」
「だって……俺のこと、馬鹿にするからさ」
『馬鹿にした訳じゃないわ。さ、帰りましょう』
「え？」
最後のツタを取り払い、私とヒロトは立ち上がった。
キョトンとする夕弥に、少しだけ目を細める。
『私も一緒に謝ってあげるわ』
「俺も行くよ。三人なら、心強いだろ」
「う、うん。だったら良いけど。……うわっ！？」
夕弥がびくんと私達の背後を指さした。
振り返ると、さっきの河童……じゃないわね。似ているけど、髪の色が青いもの。が、木陰から覗いていた。
しかしそれは、よく見ると人間だ。無機質な瞳で、こちらをじっと見つめてくる。
「……行こう」
『ええ』
何やら不気味なものを感じながらも、私達は彼に背を向けて、歩き出した。
第321話 想像上の動物で→←第319話 いるわけないだろ？
- 金 運: ★☆☆☆☆
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杳覇(プロフ) - みかんさん» おおっとTwitterやってらっしゃる方なんですね！夜叉姫9章に私のアカウント追記しておきますので、宜しければお友達になって下さると嬉しいです(〃ω〃) ありがとうございます！頑張ります！！ (2020年6月7日 9時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
みかん - めっちゃ語りたいですけど、色々あってボード消しましたツイはやってるのですが、無理なさらず作品を完成させてください！ (2020年6月7日 1時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます(T ^ T)はい！頑張ります！！みかん様は私の愛する読者様ですから(〃ω〃) そうなんですっ！不動くん頑張らせました！！これからさらにかっこよくしていきますよー！！ (2020年6月6日 16時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
みかん - はい！みさせていただきます！最後まで頑張ってくださいね！みかん様とか、照れますね\(//∇//)\色々と忙しくて途中見てなかったのですが、不動は最高にかっこいいですね (2020年6月6日 16時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - みかんさん» みかん様ああああマジですか！？まだ見てて下さったんですか！？ええええありがとうございます！！びっくりしました！！重ね重ねありがとうございます！！いえいえそんな、こちらこそ出すの遅くなってすみません！！ (2020年6月5日 17時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年3月20日 15時
