【名探偵コナン】幼女になって読む話。

ぷれぜんと　いち ページ38

「ふぁ、」


口からやる気のない欠伸がこぼれる。それもそうだ、喫茶店ポアロはただいまお客さんが不在なのだから。いつもだったら、女子高生がきゃあきゃあと騒いでいるものの、今日は目当ての安室さんがお休みのためその姿もない。

まぁ、炎上しないならいいんだけど。

店のなかには、時計のかちかちと急かすような音と、たまに口からもれる私の欠伸くらいしか響かない。しかし、気分を切り替えながら私は努めて明るく外の通りを眺めた。すると、


「あれ…？」


ひょこっと小さな頭が、店の前を行ったり来たりしている。コナン君？それとも少年探偵団のだれかだろうか、何をしているんだろう。好奇心が私の背中を押して、私はそろそろとカウンターを出る。

からんと来客を告げるベルを鳴らしながら、外を覗く。幼い少女が私をこわごわと見上げている。きゅうっと唇を噛み締めて、しまった…というような困惑した表情を浮かべている。しかし、意を決して口を開いた。


「あの…あむろおにいさんいますか？」

「あ、ごめんね…今日はお休みなんだ」


少し申し訳なくなりながらそう伝えると、少女は顔をぱあっと明るくさせた。予想外の反応にえっと間抜けな声がもれる。だが、困惑する私をよそに少女は嬉しそうに話す。


「ええっと…おねえさんに
　そうだん、したいことがあって、」


だめ、ですか？と見上げてくる瞳がきらきらと輝いていて、うっと息が詰まる。こういう瞳で見られると弱い、とつくづく思う。それに大概私も頼られるということに弱いし。


「うん、梓お姉さんに任せなさい！」

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