・ ページ7
.
Side of You
ある休みの日のこと。
春なのに予想以上に暑くて
着ていたパーカーを手に持ちながら
買い物を済ませる。
暫くすると目に留まったコーヒーショップ。
喉の渇きを我慢出来ずにすぐさま中に入ると
さすが、大行列だ。
『あっつ………うーわ、めっちゃ並んでんじゃん』
「………………あ！」
『え？………あ！Aちゃん！！』
カラン、と鳴るドアベルの音とともに
ドタバタうるさい足音が聞こえてきた。
後ろから耳に入った声に聞き覚えがあって
少しだけチラッと振り向いてみると
あの時ぶりの優斗くんだった。
「久しぶり、優斗くん」
『久しぶりだね(笑)しかもこんな所で』
「ほんとに(笑)この前はほんとにありがとう」
『そんな何回も言わなくていいって！！
まじで！！』
無事に帰れた？なんてやっぱり優しくて
大丈夫だよって言うと満足そうに笑う。
この辺に住んでるの？とか学校はどこ？とか
あの日には聞けなかったことをお互いに話して
苦痛そうだった大行列の体感時間は短くなって。
私のレジの番になって慌てて前を向くと
あ！と優斗くんが思いついたように私を引き留める。
『奢るよ、そしたらレジも早いし』
「え、そんなのいいよ！！」
『ほら、並んでるから早く』
「え、え、…ちょっと？！」
『Aちゃん何頼む？』
「………キャラメルフラペチーノ、」
『ふは、俺と一緒(笑)』
大行列を言い訳に無理矢理押し切られて
優斗くんに奢ってもらうことに。
お会計が終わったあと、払うよっていう私に
いいから！！って見事に財布を片付けられてしまった。
『じゃあ、奢った代わりに
俺が飲み終わるまで一緒に座ってて』
「い、いいけどそんなのじゃ………」
『いいんだってば、しつこい！(笑)』
「痛……っ、」
2人用の席に連れられて向かい合わせ。
申し訳なさが残ってなかなか折れない私に
ピン、とおでこを弾いて優斗くんは衝撃を与える。
優斗くんってひとつひとつに余裕があって
なんか慣れてるなぁ、なんて
そのデコピンの痛みにおでこをさすりながら
ぼんやり思ってみると、チリっと
小さく胸が痛んだ気がした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1717人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はび - いつもドキドキしながら読ませてもらってます！！(T ^ T)応援しています！頑張ってくださいっ ！！ (2018年6月22日 23時) (
レス) id: 1a6434a690 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - ドキドキしながら読んでます(；＿；)これからも応援してます！ (2018年6月18日 23時) (レス) id: e8d9010515 (このIDを非表示/違反報告)
moema(プロフ) - いつもキュンキュンしながら見てます！これからも頑張ってください！ (2018年5月6日 0時) (レス) id: 43f5e476de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むう
| 作成日時：2018年4月25日 22時
