・ ページ21
.
Side of Ryuto
「………どうしたの？
今日さくちゃんいつもと違う」
『……ん、』
俺の背中に回った腕。
ぎゅっと力を加えられるとたまらなくホッとして
たまらなく愛しくなる。
『ごめん、なんでもな…っ』
「なくないでしょ」
『…っ』
「理由は言わなくてもいいけど……
私の前では無理しちゃやだ」
『……………うん』
離れようと嘘をついたのにバレバレ。
余計に強く抱きしめられて
むしろさっきより密着してしまった。
俺のことになると自分のことみたいに
悲しそうな顔をする。
そんな顔させたくないけど、嬉しくて。
頷いた俺にふわっと微笑むと
さくちゃんのくせに隠し事なんて、って付け足して
軽く摘まれたほっぺ。
淡い痛みが広がると、逆に心は温かくなった。
「ねぇ、さくちゃん」
『なに？』
「さくちゃんも、遠くに行かないでね」
俯かれたせいで表情が見えない。
そんなの、Aがいない場所でなんて
生きていける気がしないのに。
遠くに行くわけがない。
…………行きたくない。
『行かないよ、俺は…Aが全てだから』
「ふふ、さくちゃん大袈裟」
『ホントだよ。だから安心して』
「………………うん」
好きって言ってしまったら
もっと近くに行けるのか。
そんな安易な考えなら何度もした。
でもきっと、その2文字で片付けてしまったら
Aは俺から離れてしまう気がして。
結局、物語の中では魔法みたいなこの言葉で
彼女のことはつなぎ止められない。
だから、彼女の持つ優しさで。
" さくちゃんには私がいないといけない "
の気持ちで。
幼馴染っていうこの曖昧な関係で。
幼い頃の " あの約束 " で。
俺の持つ全ての要素で、今日もそばにいる。
『A、おやすみ』
きっとこれからも。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1718人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はび - いつもドキドキしながら読ませてもらってます！！(T ^ T)応援しています！頑張ってくださいっ ！！ (2018年6月22日 23時) (
レス) id: 1a6434a690 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - ドキドキしながら読んでます(；＿；)これからも応援してます！ (2018年6月18日 23時) (レス) id: e8d9010515 (このIDを非表示/違反報告)
moema(プロフ) - いつもキュンキュンしながら見てます！これからも頑張ってください！ (2018年5月6日 0時) (レス) id: 43f5e476de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むう
| 作成日時：2018年4月25日 22時
