枯渇と残夢【HUNTER×HUNTER】

41*Doll ページ44

それから数日。

そろそろキキョウさんとのお茶会が疲れてきた頃。

着せ替えとかに付き合わされるのも懲り懲りだ。



「Aさん、ちょっといいかしら?」

「あ、はい」

「一緒に来て下さる?」

「何かあったんですか?」

「ゴンというキルの友達を名乗る子供が試しの門を開けたそうです」

「そうですか。私も行きます」



キキョウさんには言っていない。

ゴンたちと顔見知りだと。

その方が都合が良い。



「あぁ、それと……」

「え?」

「そのお洋服とても似合っているわ。Aさんみたいな娘が欲しかったわ」

「それはどうも……」



私は貴女みたいな母親はごめんですけどね。

ヒステリック起こされると堪らない……。


キキョウさんの言う、“その服”は人形の様なゴシックロリータの服。

着慣れないから少し不安。



「Aお姉様」

「カルト……」

「そのネックレス、とても似合っています」

「ありがとう」



クロロから貰った蜘蛛のネックレス。

そうそう幻影旅団だとは気付く代物では無いだろう。



「いましたわ」

「……」



彼らに此処で顔を見られるのは困る。

てことで、キキョウさんに持たされていた傘を差し、顔が見えないように傾けた。


卓越者の拡大鏡(シュピーゲル オブ ブリジット)で見るに……。

あ、骨折治ってるし。

じゃなくて……試しの門を開けただけある。

筋力が上がっているのが分かる。



「……っ」

「ぁ……」



カナリアが“お願い、キルア様を助けてあげ――――”と言ったところで、

キキョウさんが彼女に向かって銃を放った。



「まったく……使用人が何を言っているのかしら。まるで私たちがキルをいじめてたみたいに。
　ただのくそ見習いのくせして失礼な」



そばで黙って聞いているのもイライラする。

まったく、この家は……。

ルーン族より幾分かマシだけど、端から見れば酷い。



「あなたがゴンね。イルミから話は聞いてます。
　あなた方が邸内に来ていることはキルも知っていますよ」



キキョウさんの話から耳を背け、辺りを見回す。

私たちの他に人は見えないし、気配も無い。

あるのはこの殺伐とした空間だけ。



(お人形さんみたいだわ)
((口が裂けても着せ替え人形にするのやめてくれなんて言えない……))

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