19*Egg ページ21
刃物なんて持ち出しちゃって……。
いや、刃物扱ってる私が言うのも可笑しいんだけどね。
遠目にその様子を見ていると空から誰かが降りてきた。
……アイザック=ネテロ。
ハンター協会、会長。
どうやらメンチはカッとしてしまったらしい。
ということで、試験はやり直し。
マフタツ山のクモワシの卵を取りに行くとの事。
私はもうやりきったから会長さんの隣でお留守番中。
「お主……表の者では無いだろう?」
「何故、そう思うの?」
「何となくじゃ」
「……此処だけの話、私、ルーン族の生き残りなんですよ」
「何じゃと!?」
「静かに。この世にたった一人。レアな人間なんですよ?」
「まさかな……皆殺しにされたと思っておったが、生きていたとは……」
「まあ、不幸中の幸いってやつになりますかね」
そう言い切ると、ゴンたちが谷から上昇気流に乗って帰って来た。
手には大きな卵。
「お主も行ってきたらどうじゃ?」
「私はいいの。彼処にいるのは相応しくない」
「……名を、聞いても良いか?」
「A=ルーン・ヴァナヘルツ」
「A、か……。良い名じゃの」
「何を思ってこの名前を付けたのかは知りませんけど。親に愛なんて貰ったこと無いので」
Aは風に長髪を靡かせる。
ローブの下に隠れてしまってはいるが、胸元には蜘蛛のネックレスが揺れている。
「私は迷子なの。何処に行ったらいいか分からない。
親に与えられたのは愛ではなくて、殺しの技術。生まれもっての、暗殺者なんです」
悲しそうになっているのが自分でも意味が分からない。
けど、皆が知っているだろうものを知らない私は……自分が、悔しかった。
「あ、試験に影響しますか? これ」
「せんよ。誰しも深い事情は持っておる」
「良かった……」
いつか、この人とも戦ってみたいな。
とか、思ってみたり。
「シルアー! シルアも食べない?」
「! じゃあ、少しだけ……貰おうかな」
「うん!」
ゴンから貰った一欠片を口に入れる。
ふんわりと広がる卵の味。
……悪くは、ない。
「うん……うん……。美味しい。ありがとう」
「ううん、いいよ!」
「さっき、あのじいさんと何話してたんだ?」
「内緒。お子様は知らなくていい話」
「ちぇ……」
陰と陽。
まさに隣り合わせの存在。
境界線が、歯痒い。
(料理って何が得意?)
(無論、オムライス)
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久遠深ヶ - 水晶さん» ありがとうございます。評価のことは気にしません。逆に創作意欲を煽られた感じですね(笑) 主人公ちゃん、何か不思議ですよね。自分でも思いますw タメで話すけど、やっぱり敬語が抜けきらなくて……。これからも頑張りますので宜しく御願いします。 (2015年11月18日 23時) (レス) id: b419e6a38f (このIDを非表示/違反報告)
水晶(プロフ) - 初めまして。とても面白いです。低評価はきっと悪戯のようなものなので気にせずに更新頑張ってください。とても読みやすく、夢主のキャラも個性的でとってもいい小説だと思います。 (2015年11月18日 22時) (レス) id: 6f1547238d (このIDを非表示/違反報告)
久遠深ヶ - 餅兎さん» ありがとうございます。此処に来れなかった数ヶ月の間に燻っていたものが色々爆発しまして、今作に至ります(笑) ルーン文字の原案はあのルーン文字で合ってます。私が歴史を好きなものですから……。コメントありがとうございます。これからも宜しく御願いします。 (2015年11月14日 22時) (レス) id: b419e6a38f (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 新作おめでとうございます。今作の主人公ちゃんも不思議な雰囲気を持っていますね(*^^*) 久遠深ヶ様が執筆されるキャラは魅力的で憧れます。ルーン文字ってあのルーン文字でしょうか? 神秘的で素敵ですよね!。その辺のセンスの良さにも脱帽です笑 更新待ってますね。 (2015年11月14日 15時) (レス) id: 86d4d39a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久遠深ヶ | 作成日時:2015年11月12日 15時