【rtrt】 誘拐犯と私 2【実況者】

逃亡58日目 ページ10

.




｢…ずっとずっと、大好きやで｣





『えへへ…私もです…』





頭がグラグラする





その時、私側のドアががちゃりとあいた





警察｢[被害者の宮原Aさん発見しました]｣






警察は無線のようなものに対してそう話しかけた






警察｢Aさん、もう大丈夫だよ｣







そして、彼らはレトルトさんに向かって銃口を向ける







警察｢6時32分、香坂怜斗、お前を捕まえる…！｣







私は警察にそっと肩を抱かれ、車から降ろされた







『や、やめて…！！！』







反射的にそう叫ぶ





私を抱きしめるのは、レトルトさんしか受け付けないようになってしまった







警察｢…脅されてるんだろう？もう大丈夫だからね｣







若い警察官は、私に対して微笑む







『レトルトさん…！！逃げてください！！！早く…、こんなヤツらに捕まらないで…！！！』







レト｢…！｣







その時、レトルトさん側のドアも開き、レトルトさんは警察に捕らえられた







『やめてっ…！レトルトさんを…取らないで…！！』







必死に叫ぶ







左腕から血をダラダラと流し、目からは涙をぼろぼろと流しながら。








『お願いっ、レトルトさんを…！！！』







レト｢Aちゃんっ……！！｣







レトルトさんは強制的にパトカーに乗せられて行った







私は最後の力を振り絞り、私の肩をささえる若い警察官の頬を叩いた







初めて、人に反抗した気がした







『返してっ…返してください…私の…大切な…人…』







涙のせいで、上手く言葉が出ない







警察官は驚いたような顔をしている







そして、後ろの方から年配の警察官がでてきた







｢大丈夫だよ、もう大丈夫。香坂に洗脳されてるんだよ君は。だから、君は今助かったんだ｣







『人の腕打って、そのうえ洗脳されてる…ですって？信じられないっ…レトルトさんはそんな人じゃない……』







もう何をいえばいいか分からない





伝えたいことは山ほどあるけど、その中から大切な言葉を噤んで言えた気がした






『だから…彼…レトルトさんを……』






バタン







そこで私の意識が途切れた







最後に見たのは、血飛沫が飛び散ったレトルトさんの車だけだった

逃亡59日目→←逃亡57日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す