逃亡56日目 ページ8
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エンジンはすぐにかかり、俺は車を走らせた
何処に行くかなんて分からない
ただ、遠くに行ければよかったのだ
空気を読まない車でかかっているCDの音楽が、何となく俺らの心を休めた
「Aちゃん」
『…はい』
「……一緒に逃げ切るからね」
『…!』
「いざとなったら俺だけ逃がそうとか思わないでね」
ちらりと横を見ると、Aちゃんは図星だと言うような顔をしている
「はぁ……俺、Aちゃんが居ないと逃げる意味無いんやで?(笑)」
『じゃあ、逃げる時も捕まる時も一緒…ですね』
「もちろん」
Aちゃんは嬉しそうに頷いた
少しして、彼女は窓の外を眺めながら呟く
『もし、捕まってしまったら私、元の生活に戻るんでしょうか』
「…どうだろう」
『私…レトルトさんが居ないと、本当にダメな人間になってしまう気がします』
「大丈夫、元からAちゃんはダメな人間なんかじゃないよ」
『そういう…優しさに甘えてしまっていいんでしょうか……私……────』
「甘えさせてもらってるんは、俺の方だから」
『…お互い様…ですか?(笑)』
「うん(笑)」
「あ──」
バックミラーを見ると、数台のパトカーが俺らの車を追ってきてきた
《そこの車、止まりなさい!!》
大きなスピーカーで警察はそう叫ぶ
P-Pっ…P-Pはどうしたんだ!?
「クソッ…」
パトカーの方が若干速くて、追いつかれそうやんか……
これじゃあ……
その時、
ブイイーン
と、Aちゃん側の窓が開く
「ちょっ、Aちゃ──」
Aちゃんは窓から少し身を乗り出し、叫ぶ
『辞めてください…っ!!!レトルトさんは…香坂さんは悪い人じゃないっっ…!警察なんかよりでずっとずっといい人ですっ…!!』
『だからっ、だからっ……!!
お願いだから母の言葉を信じるのをやめてください…っ!!捕まえようと…しないで…』
Aちゃんは涙を流していた
運転しているせいで、抱きしめてあげることが出来ないけど
「Aちゃん……──」
その時だった
バンッッ!!!
『ッ……!』
俺の顔に、血飛沫が飛んだ
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さんご(プロフ) - あきらさんさん» ありがとうございます、、!あきらさんがこの小説に出会ってくれたことが先ず嬉しいですし、楽しんでくれて何よりです🤲´- (11月13日 1時) (レス) id: b4a1483ffc (このIDを非表示/違反報告)
あきらさん(プロフ) - え…泣いてもいいですか?すごい泣きそうで、切ない、けど2人や周りから言えばハッピーエンド。その裏には新たな真相が隠されている…。おなかいっぱいです…!!!めちゃくちゃ大好きです!この作品が読めた事がとても嬉しいです! (9月17日 17時) (レス) @page30 id: af4a079e32 (このIDを非表示/違反報告)
さんご(プロフ) - moka、さん» まず2年近く前の小説を今なお読んでくださってることがすごく嬉しいです、、。楽しんで読んでいただけて、さらにコメントまでいただけるなんて本当に書いてよかったと思えます😚💓これからも自作をよろしくお願いします!コメありがとうございました💕 (2022年6月30日 14時) (レス) id: 435cdb899d (このIDを非表示/違反報告)
moka、(プロフ) - 有りの結末がとても気に入っております!!メインの二人だけでなく、他の人達もちゃんと考えられていて本当に凄いですね…!つい興奮してしまい、長文すみません…笑 まだまだ文字数が足りなさすぎる…笑この作品に出逢えて本当に良かったです!ありがとうございました (2022年6月29日 23時) (レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
moka、(プロフ) - 夢主ちゃんが腕を打たれ、レトさんが捕まり…までの展開がもう泣きそうになるぐらい切なくて……あとは無罪になった真相や、レトさんが実は元殺人者だったところはゾッと鳥肌がたってついはしゃいじゃいました…笑 メンヘラヤンデレ大好きなので個人的にはアフター (2022年6月29日 23時) (レス) @page29 id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
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